「ドイツ人の戦略的休み方」サンドラ・へフェリン著/大和出版(選者:中川淳一郎)

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GDPで抜かれたドイツは有休全消化が当たり前

「ドイツ人の戦略的休み方」サンドラ・へフェリン著/大和出版

 GDP世界2位を長らく誇っていた日本が中国に抜かれた時は「あっちはオレらの10倍の人口があるからそんなの当然だ」と強がっていた日本。しかし、日本よりも人口が少ないドイツ(日本=約1.24億人、ドイツ=約8500万人)に抜かれ4位に転落した時は、日本人の生産性の低さを突きつけられた形となった。

 それでいてドイツ人は日本人の1.7倍の年収を得て、有給休暇取得率は100%なのだという。我々は安月給にぶつくさ言いつつも、有給休暇取得を後ろめたく思い、自虐的に「今年も有休が20日も残ったわ。これで勤続15年、300日分来年使いたいわ」なんてぼやいてしまう。

 本書は、いかにしてドイツ人が高い生産性を発揮し、仕事・それ以外で満足できる人生を送っているかを取材したもの。登場するドイツ人は一言で言えば「成熟した大人」である。仕事はきっちりとやり、趣味は充実。パートナーとともに10日間かけて494キロ離れたイタリアまで自転車で行くというユリアさんの有休の取り方がぶっ飛んでいる。ユリアさんは週休3日の勤務スタイルで、金曜日は休み(なお、ドイツでは「4日勤務」と理解されているらしい)。

〈「今まで取った一番長い休暇は連続して3週間かな。私の場合は12日間の有休をとると3週間の連続した休みになるのよ。基本的に有休は年内に全部消化するわ」〉

 昨今、日本の各地で欧米系の観光客を見るが、「なんでお盆でも年末年始でもないのに、この人たちはここにいるのだ?」と思うことはなかろうか。その答えが本書には書かれている。

 とにかく、仕事はキチンとしつつも、休む時は休み、報酬はドカーンともらう。これがドイツを含めた欧米の人々の生き方なのである。著者がドイツ人の話を聞いて感じたのが、「ドイツ人の間では有休関連の意地悪な話が存在しないこと」だ。有休を取ることについて日本の職場ではトラブルが発生しがちだが、「一方、ドイツではこれらすべてが『なし』です。『存在しないのです』」とのこと。理由はシンプル。

〈全員が有休を全部消化するのが当たり前だからです。そして、誰もが「長期で休む」という共通認識があるからです〉

 私自身も会社員時代、先輩社員がまだ会社に残っているのに先に帰るのは申し訳ないな、とどうでもいい書類を作ったり、土曜日に出勤して誰もいないオフィスで仕事をしているとエラくなった気持ちになった。それらが全部ムダなことだったのである、というのがドイツ人の働き方から学べる。 ★★半

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