著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

脳の“お掃除機能”を高めれば認知症は治る? アストロサイトに注目

公開日: 更新日:

 認知症の治療薬の研究は世界中で進められていますが、現在、実際に使用されている治療薬の多くは、その進行を抑える程度の作用しかありません。脳に蓄積するアミロイドβという異常タンパクを除去するという薬が開発されていますが、初期の認知症にしか効果はなく、脳の出血などの副作用も報告されています。

 それでは、進行した認知症にも有効で、副作用の少ないような治療薬はできないのでしょうか?

 脳の神経細胞に有害な物質が沈着することが認知症の原因です。その有害な物質を中に取り込んで、分解してしまうような働きを持つ細胞が脳には存在しています。それが「アストロサイト」です。アストロサイトは脳のゴミを掃除する、掃除機のような細胞なのです。

 じつは認知症ではこのアストロサイトの働きが低下していて、そのために有害な物質がたまってしまうのだという考え方があるのです。

 今年のネイチャー系の科学誌に、アストロサイトを利用した認知症治療の研究が報告されています。認知症のモデル動物のネズミを利用して、脳のアストロサイトの機能に関わる遺伝子の働きを高めたところ、脳に沈着した異常タンパクは減少し、脳の機能も回復しました。

 これはまだ動物実験の結果なので、すぐに人間に使えるわけではありませんが、今後、研究が進めば、安全で認知症を治せるような薬が開発されることになるかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    八王子実践・河本ロバート監督「ライブや家族旅行も、事前に相談があれば休ませます」

  2. 2

    萩本欽一〈34〉私の“運”論 大谷翔平のカネを使い込んだ通訳に「小さな声で『ありがとう』」

  3. 3

    中居正広氏が熊本地震被災地を支援と報道 引退後も変わらないチャリティー精神と芸能界復帰の可能性

  4. 4

    高橋成美「渋幕→慶応」だけでは読み解けないズバ抜けた回転の速さ 世界選手権ペアで日本人初の銅メダル

  5. 5

    東京・赤羽、先行する第1地区に110メートル級、せんべろの1番街が丸ごと潰される危機

  1. 6

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 7

    国害SNSを告発 森山裕・自民党前幹事長「高市おろし」キーマンに急浮上の裏…不快感に国境なし

  3. 8

    年金生活者を悩ませる墓問題 維持費も「墓じまい」の費用も払えない人はどうすればいいのか?

  4. 9

    「墓じまい」に悩むシニア 費用や遺骨の始末より問題になる「家族の愛憎問題」

  5. 10

    松本若菜「ジュラシック・ワールド」吹き替え《棒読み》論争再燃…暗雲漂う主演ドラマに新たな逆風