人間は「心のレンズ」次第でものの見え方が変わる…プライミング効果
先行する刺激(プライマー)に触れることで、その後に続く行動や判断が無意識のうちに影響を受ける現象のことを「プライミング効果」といいます。
例えば、「パン」という言葉の後よりも、「ドクター」という言葉を見た後の方が、「ナース」という言葉をより早く認識できる--。こうした現象は、関連性のある言葉(刺激)に触れているからこそ認識しやすくなる「プライミング効果」によるものです。
「プライミング効果」は、行動や認識を無意識に変えるともいわれ、そのことを示す香港科技大学のホンらの研究(2000年)があります。
実験が行われた2000年当時の香港は、まだ中国文化と西洋文化が混在した特異な場所です。つまり、香港人は2つの文化を持っている人々ということになります。そんな彼らに、ある文化を思い出させるような画像やシンボルを提示するという実験を、次の2つのケースで行いました。
一つは、中国の寺院など、中国文化を象徴する画像を見せるケース。もう一つは、アメリカの国会議事堂など、アメリカ文化を象徴する画像を見せるケース。その後、香港人の参加者に、曖昧な社会的な出来事の映像を見てもらい、その理由を尋ねました。提示した画像は、一匹の魚が他の魚の集団から離れて泳いでいる映像です。


















