【現地ルポ】SIONと往年のロッカーが「ファイナル」ライブで野音に別れを告げた夜

公開日: 更新日:

語り継がれる伝説は新たな1ページへ……

 雲が白い線をひいていた空は刻々と色を変え、夜になると眩い照明が闇を切り裂き、暴れまわる。やがてステージと客席が一体となって、宙に浮いたような浮遊感がボルテージに拍車をかける。そんなライブに通い続けてきたファンにとっての野音は自分の立ち位置を確認する拠点であり、道しるべであり、生存を確認し合う場所としても機能している。どしゃ降りの雨と風の中、アンコールまで歌い切った回もあれば、直前までの大雨警報がうそのように晴れ渡った回もあった。

「寒さ、暑さが結構応えるようになりました。へへへ」

 そんな軽口も叩きつつ、SIONは「たのしいな」と呼び掛け、会場を盛り上げた。そんなSIONの野音も今回「FINAL」と銘打たれた。キャロルの解散コンサートがあり、キャンディーズの3人が「普通の女の子に戻りたい」と叫び、尾崎豊が7メートルの照明設備から飛び降りたステージでSIONはラスト、「バラ色の夢に浸る」を歌い出した。

 ♪働かなくちゃ、生きていけないが、楽しみがなくちゃ、何が人生だ!

 そしてファンとともにまた野音の空を見上げた。

 ♪見上げれば、着飾ったビルの、遥か上、不動の光で、大好きな月が輝く~

 100余年の歴史に幕を閉じるが、ロックの殿堂、音楽の聖地の伝説に終わりはない。

(長昭彦/日刊ゲンダイ

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・田中将大はヤンキースに未練タラタラ…「一途な200勝男」は復帰願望を周囲にこぼしていた

  2. 2

    阪神・才木浩人はドジャース入りで大谷と共闘の現実味…「佐々木朗希より上」の評価まで

  3. 3

    カムバック星野監督の“2カ月20kg”の無茶ぶりに「嫌です」なんて言えるはずもなく…

  4. 4

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  5. 5

    高市早苗氏は頼みの党員・党友支持に急ブレーキで決戦シナリオ破綻…陣営が迫られる「地獄の選択」

  1. 6

    不世出のストライカー釜本邦茂さんが草葉の陰から鹿島18歳FWの「代表入り」をアドバイス

  2. 7

    国民民主党“激ヤバ”都議に「免許不携帯」疑惑 日刊ゲンダイの直撃にブチ切れ!【動画あり】

  3. 8

    ヤクルト村上宗隆の「メジャー契約金」は何億円?

  4. 9

    そうだ、風邪をひけばいいんだ!減量に行き詰まった末、裸同然で極寒の庭へ飛び出した

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇