「日本語はひとりでは生きていけない」大岡玲著
「日本語はひとりでは生きていけない」大岡玲著
言語学者の大岡は、サザンオールスターズの「勝手にシンドバッド」を聴いて衝撃を受けた。「夏の日の思い出は ちょいと瞳の中に消えたほどに」??
歌詞を日本語として伝えようという意識がない。桑田佳祐は、ロックという英語圏の音楽を載せる〈皿〉としては、そのままの日本語は使い勝手が悪いと感じていたのだ。
作家の志賀直哉も「國語問題」と題したエッセーの中で、日本語ほど不完全で不便なものはない、フランス語を国語に採用しては、と提案している。
ヤマト王権の漢字の導入、漢文の公用語化、アメリカ語で新たな文体を獲得した村上春樹の作品などを検証し、日本語の謎と魅力を探る。 (集英社インターナショナル 2970円)