ドローンを駆使した鳥の視点で廃墟の島を撮影「Ruins of the Future City 軍艦島飛行」espinas3著

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「Ruins of the Future City 軍艦島飛行」espinas3著

 長崎市の沖合に浮かぶ人工島、軍艦島(正式名称・端島)が、まだ誰にも注目されていなかった1990年代からこの島に通い、撮影をしてきた著者による作品集。

「朽ちながらもなお、美を宿す」その廃虚の姿に魅せられ、今も週に1回は島に渡り撮影を続けていて、2019年からドローンも撮影に導入。

 本書の表紙を飾るのは、ドローンを用いて、長年夢に見ていた構図から撮影した軍艦島の姿だ。

 確かに、その名の通り、船首をこちらに向けた軍艦が大海原を堂々と近づいてくるような迫力がある。

 この作品の撮影に成功した折には、自然と涙が出てきたという。そんな誰も見たことがない鳥の視点の軍艦島の姿を含め、その細部まで撮影した作品を収める。

 ページを開くと、今度は早朝の島を横からとらえた作品が現れる。海の青と空の青が入り交じり、まるで宇宙空間を進むかのようなその雄姿にこの島が廃虚であることを一瞬忘れ、その美しさに見とれてしまう。

 以降、夕刻まで刻々と変化する光のもと軍艦島のさまざまな表情をレンズは追っていく。

 上空から更に接近して、島を見下ろしたドローンの映像は、この島が廃虚であることを改めて強く感じさせる。

 コンクリートの躯体は残っているものの、あちらこちらが崩壊しており、粉々になった建材が地面を覆う。中には屋上が崩れ落ちている建物もある。

 さらに近づくと、朽ち果てた建物が朝日によって朱に染まり、かろうじて残ったわずかな窓ガラスがその朝日を反射している。

これが著者のいう「朽ちながらもなお、美を宿す」ということなのかと納得させられる一枚だ。

 やがて太陽が高度を上げるとともに、海は透明な青さを際立たせる。

 さらに上空から島をさまざまな角度から見ていくと、人工島の荒廃した景色のところどころに濃い緑色に染められている場所があることがわかる。

 鳥たちが落とした種によってさまざまな植物が増殖しているのだ。

 実際に島に降り立って撮影された写真の中には、建物と建物の間の中庭のような狭い空間にどうやって根を下ろしたのか、樹木が成長し、枝葉を広げている光景をとらえた作品もある。

 建物内の壁にもツタが広がり、今、人工島は時間をかけて緑の島へと変化しているのかもしれない。

 朽ち果てようとしている島のあちらこちらには、ほこりをかぶった飲み物の瓶やランドセル、子どものいたずら書きがある襖、本土の大事故を伝える新聞など、1974年の炭鉱閉山までかつて住人たちが暮らした生活の痕跡が今も残る。

 やがて夕刻を迎え、一日を終えた島の上空には天の川がかかる。

 そうして眠りについた軍艦島は、また1日分だけ朽ちて翌朝を迎える。

 廃虚好きには、こたえられない一冊となることだろう。 (忘羊社 3300円)

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