若すぎる死を迎えた男を追い込んだものの正体 「私たちが刈り取った男たち」ジェスミン・ウォード著 石川由美子訳
「私たちが刈り取った男たち」ジェスミン・ウォード著 石川由美子訳
2000年から5年の間に、著者の周囲の5人の若者が立て続けに命を落とした。弟のジョシュアは19歳のときに酔った白人ドライバーの車に追突されて亡くなり、友人のロナルドはコカインにはまって違法な仕事に手を染め19歳で自殺。妹の恋人のC・Jは20歳で車の中で焼死し、友人のデモンドは31歳で夜勤明けに何者かに殺害され、ロジャーは薬物による心臓発作で23歳で亡くなったのだ。
5人の死に直接的な関係はないものの、彼らの若すぎる命はなぜ「刈り取られる」ことになったのか。
本書は、故郷をモデルに描いた小説「骨を引き上げろ」などで現代米国文学の旗手として知られるようになった著者による回顧録で、米国南部のミシシッピ州における、黒人コミュニティーのリアルを赤裸々に描いている。社会が教育や安全やまともな仕事を用意せず、司法でも不利な立場に置かれる中で、絶望をまぎらわすため薬物や違法な仕事に手を染めてしまい、医療にもアクセス不能な若者たち。貧困、レイシズム、薬物、犯罪が蔓延する社会の中で、生き残った者として書くことを選んだ著者の思いが胸に迫る。
(作品社 2970円)



















