注文のたびに茶碗にカネを入れ…大井町で氷なし、超炭酸のハードなハイボールを楽しむ

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 昭和的な街や店を探訪するアタシにとって何が一番悲しいかと言えば、大規模開発で古い町並みが消えることである。

 昭和39年の東京オリンピックの頃の都市開発を小林信彦さんは「街殺し」と呼んでいた。最近はいろいろな街が殺されている。大井町もその一つ。アタシの好きな大井町線の高架下やさらにその地下にある飲み屋街もだいぶ変わってしまった。

 ま、時代の流れだからしょうがない。センチメンタルなノスタルジーだ。わかっちゃいるんだけどね。せめてトラックスとは対照的な東小路だけは残してほしいと願う還暦男。さて、今回は昭和が残るその東小路で絶品のハイボールをやろうというもくろみだ。その名も「大井町ハイボール」。

 アタシにとってのハイボールはカジュアルな店でがぶがぶ飲むもの。オーセンティックバーで気取って飲む酒ではない。アメリカの田舎町のバーで飲むバーボンハイボールみたいに、でかいグラスに無造作に氷を放り込んでハーパーかアーリーをテキトーにドボドボ注いで、歯医者が使うような恐ろしげな道具で炭酸をブシューと注ぎ込む。そんな飲み物。

 だが、この店のマスターの渡邊眞一さんが作るハイボールは一味違う。氷なしのハイボールは薄まらず、しかも強炭酸のハードな味わいだ。ワイルドにガブッと飲むもよし、程よい大きさのグラスをもてあそびながら少しずつ味わうもよし。この店ではハイボールが主役だ。「とりあえずハイボール」ではない。「何をおいてもハイボール」である。

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