著者のコラム一覧
本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。2019年、「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)が、山田孝之主演でNetflixで映像化配信され大きな話題に。最新刊に、「東京降りたことのない駅」(大洋図書)、「全裸編集部」(双葉社)などがある

ダイヤモンド映像を復活させた松坂季実子の迫力ボディ

公開日: 更新日:

 裸を見慣れている日比野たちだったが、目の前の巨大な乳房に我を忘れた。大人の頭ほどもあるだろうか。白くたわわに実り、うっすらと静脈が透けて見える。乳首は薄桃色で、視線をくぎ付けにさせる。服の上からでは、こんな大きな乳房だとは予想もできなかった。

 大きすぎる乳房にコンプレックスを抱いていた短大生は、膨らみが目立たぬようダブッとした趣味の悪い服を着ていたのである。

 スカウトマンですら、まさか短大生の胸がこんな大きいとは気づかなかった。

 写真撮影を終了した日比やんたちは、社屋に飛んで帰ると、村西監督に興奮気味に報告した。

「あんな巨大なおっぱい、見たことないです!」

「専属でいけますよ!」

「絶対売れます!」

 そのときの様子を村西とおるが回想する。

「日比野やカメラマンをしていた沢城ちゃんが“大変です!”って血相を変えて飛んできたんですよ。女性の裸を見慣れている連中が、慌てて報告しに来るくらいでしたからね。松坂季実子本人は、こんな大きな胸で生まれてしまって親を恨みたいっていうほどでしたから。彼女が登場するまでは、胸の大きさをさらして生きることに大いなるためらいがありましたから。彼女も、“整形手術して胸を小さくしたい”っていうほどでしたからね」

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