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増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

萩本欽一〈27〉坂上二郎さんは一番特別な人。あのボケは誰にもできないよ

公開日: 更新日:
 「一番の憧れだった」という三木のり平さん(左)と(C)共同通信社

 作家・増田俊也氏による連載、各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。待望の第2弾は、「視聴率100%男」として昭和のテレビ界を席巻したコメディアンの萩本欽一氏です。

  ◇  ◇  ◇

増田「二郎さんは車椅子じゃなくて自分の足で歩いたんですか?」

萩本「立ってとぼとぼ歩くだけ。手なんか引いたりするとあれだから、やっぱり必死になってね。まだ雪が積もってるわけじゃないわけよ。でも、その最後のシーンになったらどんどん雪が降ってきて…。その中を2人でただ歩いた」

増田「旅先はどこだったんですか?」

萩本「旅先どこだったかな。番組のタイトルは、テレビ朝日の『旅の香り』だったと思います。北の地方へ行った」

増田「その『旅の香り』*が二郎さんとの最後の共演ですか?」

※『旅の香り』:は、2002年から2009年までテレビ朝日系列で放送された旅番組。その後も特番として放送された。芸能人が日本各地を訪れ、風土や歴史、食、温泉宿などの魅力を紹介する内容で、落ち着いた大人向けの旅番組として親しまれた。司会は野際陽子、中井美穂が務め、旅の映像を見ながら感想を語る形式が特徴。萩本欽一と坂上二郎が秋田県を旅した回は「旅の香り」のスペシャル番組として2008年1月に放送された。

萩本「最後だと思う。うん。でも、もう大変だったの。奥さんが付いてこられて、洋服もなにも全部、奥さんが着替えをさして。二郎案はもうほんとボーッとしてた」

増田「体も当然不自由だし、軽妙な掛け合いとかもできない」

萩本「それから本当に2年くらいで亡くなったから」

増田「でも雪の中を歩く背中だけで演じてたわけですよね、最後」


萩本「ほんとにね、気分のいい人。喧嘩する理由がないもん」

増田「ええ」

萩本「普通はね、だいたいネタの打ち合わせで喧嘩になるんですよ。でも、55号は打ち合わせしなかったから。俺がひとりで考えて『これで行くよ』っつったら『よし』って。それだけ」

増田「はい、はい」 

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