金井真紀(文筆家・イラストレーター)最強のお供本でお出かけも安心
6月×日 実行委員として関わっている「難民・移民フェス」が終わった。フェスの準備をしているあいだじゅう、よーし、無事に終わったらあの長編小説を読もう、と楽しみにしていたのがトニ・モリスン著「ビラヴド」(吉田廸子訳 早川書房 1496円)だ。フェスの翌日、満を持して読み始める。1行たりともゆるがせにできない濃厚な読書体験だった。ハン・ガンを読んだときも思ったけれど、「ノーベル賞作家の傑作」というものは本当にすさまじい。寝転がって気晴らしに読むような本じゃなかった(寝転がって読んだけど)。この作者と翻訳者のすばらしい仕事に触れないまま人生が終わらなくてよかったとしみじみ。
6月×日 室谷明津子さんの新刊「ルポ 支援という生き方」(筑摩書房 1056円)の刊行記念イベントに行く。登壇された若松英輔さんの語りに圧倒された。「亡くなった人を思うことが今の活動を深くする。亡くなった人に恥ずかしくないように、と考えて人は真剣になる」とおっしゃっていた。あぁ、ほんとにそうだ。気になっていた若松英輔著「増補版 言葉の贈り物」(亜紀書房 1980円)をすぐに入手、むさぼるように読んだ。
6月×日 出かけるとき、どの本をお供に連れていくか。これはつねに難問だ。たとえ近場でも油断は禁物。もし電車が止まったら? エレベーターに閉じ込められたら? 読みたい本が手元になかったら悔やむことになる。考えすぎて本選びのせいで遅刻しそう。しかしここ数日はおかけいじゅん著「世界へ飛び出た100人の日本人」(集英社インターナショナル 2200円)一択だ。海外在住日本人100人の聞き書き。300ページ超の2段組みだからすぐに読み終わらない安心感があり、しかも1話3~6ページなのでテンポよく読める。最強のお供本である。100の国や街、ひょんなことからそこに移住した100人の人生。どのエピソードも本当に興味深く、世界が広いことに救われる。そうだ、こんな時代だからこそ縮こまらずにいこう。



















