コロナで生活一変…直撃を受けた舞台俳優たちのどん底

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ひらがかんいちさん(舞台俳優・63)

 生きるために芸術文化は必要か――。新型コロナウイルスの感染拡大でコンサートや演劇などの公演が軒並み中止になるなか、そんな議論を呼んだことは記憶に新しい。ドイツ政府が早々に「芸術は今、生きるために必要不可欠な存在だ」と発表し、大規模な緊急支援策を打ち出したニュースは世界で注目されたが、欧州と違い、手厚い支援がない日本では芸術分野への影響は深刻だった。現在は少しずつ再開しているとはいえ、特に小劇場やライブハウス、個人で活動するアーティストの生活は一変した。舞台俳優、ひらがかんいちさん(芸名・63)も、そのひとりだ。

 ロマンスグレーの髪に気さくな語り口が魅力的なひらがさんは、今年4月、7月、9月に出演するはずだった3作品の演劇公演がコロナ禍で延期になった。舞台以外の映像の出演に関しては芸能事務所に所属しているが、この数カ月、俳優としての収入はゼロ。現在は介護施設でアルバイトをしながら生計を立てている。「コロナの感染拡大は金銭的にも精神的にも打撃が大きかったですね。特に4月の舞台は初日の数日前に延期が決定したため、突然で複雑だった」と振り返る。

 4月1日から東京都内で公演を予定していた「あなたの知らない チェーホフ短編 セレクト12」は、ロシアの劇作家チェーホフの短編12作を戯曲化した作品。ひらがさんをはじめ、14人の俳優と多数のスタッフが準備を進めていた。

「2月からの稽古を終え、チケットもほぼ完売していた。当時は緊急事態宣言が出される直前で、決行するか否か一番悩む難しい時期でした。強行する他の劇団もありましたが、主催者や俳優など全員で話し合い、来年の上演延期に希望を託し、今回は涙をのもうと。中には泣き出したメンバーもいました」

 舞台のためバイトを休みにしていたので収入は激減。もちろん出演料も見込めない。稽古に費やした時間、気力までも、コロナ禍で奪われた。「それに加えて……」。ひらがさんは続ける。

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