高市政調会長“公明粉砕”で高笑い 「10万円相当の給付」は年収960万円の所得制限導入で合意

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 公明党が衆院選で掲げた目玉公約「18歳以下への一律10万円給付」は結局、実施されないことになった。9日、自民党の茂木幹事長と公明党の石井幹事長が国会内で会談し、18歳以下を対象に10万円「相当」を給付する方針で一致。自民は所得制限も提案し、「一律給付」を掲げる公明のメンツは丸潰れとなった。前日、「自民党の公約と違う」と公明案に食って掛かっていた高市政調会長は、自分の主張がそのまま通り、今ごろ高笑いしているに違いない。

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 ◇  ◇  ◇

 自民と公明が合意した「10万円相当」の中身は、年内に現金5万円を先行給付し、来春までに残る5万円を子育て関連のクーポン券で配るというもの。公明党が掲げていた「18歳以下への一律10万円給付」とはまったく違うモノになった。ネット上では現金10万円給付を期待した人から〈何がしたいのか、さっぱり意味がわからない〉〈小学生のお年玉かよ〉などの批判が相次いでいる。

 8日の幹事長会談で「一律(給付)が我々の考え方」(石井幹事長)と譲らなかった公明に対し、自民は9日の会談で年収960万円の所得制限を提案。公明側が持ち帰って協議継続となったが、岸田総理と公明党の山口代表が10日に会談し、給付について「年収960万円」の所得制限を設けることなどで正式に合意した。

薄れる岸田首相の影

 “公明案”潰しを決定づけたのが、高市政調会長だ。公明党の「一律10万円給付」について、7日の日曜日、自身のツイッターに〈自民党議員の事務所に抗議が殺到しているようです〉と投稿し、8日には記者団に「自民党の(衆院選)公約とはまったく内容が違う」と念押ししている。

 連立を組んでいる公明相手なら、いくらでも水面下で調整できたはずなのに、わざわざツイッターに〈抗議が殺到〉と投稿するのは異例だ。さすがに、公明党のなかからも不満の声があがっている。結局、高市発言の翌日、公明案は潰れている。

 自民党のなかからは、高市氏に対して「あの目立ちたがり屋はなおらない。本気で総理を狙っているのだろう。岸田首相も内心、困っているのではないか」との見方も出ている。

「高市さんは総選挙の時、『自民党の選挙公約は高市公約そのままだ』という批判があることに対し、『その通りでございます』と自信満々に笑みを浮かべて語り、『私のパソコンで作りました』と猛アピールしていた。岸田首相を立てるつもりはまったくないのではないか」(自民党関係者)

 高市氏に比べて岸田首相は、総選挙で勝利しても影が薄いままだ。政策通を自負する茂木氏を幹事長に起用したのは、安倍元首相の意向で勝手に動く高市氏の動きを封じ込める狙いがあったとも解説されたが、茂木氏の動きも目立たない。

 いずれ高市氏が暴走する可能性もあるのではないか。

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