高橋乗宣
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高橋乗宣エコノミスト

1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。

近代社会の財政理念を覆す安倍政権

公開日: 更新日:

 法人税を減税しても経済は上向かないことが、企業の投資計画からも明らかになった。日本政策投資銀行がまとめた2014年度の設備投資計画調査によると、全産業の国内投資は13年度実績と比べて15・1%増となったそうだ。これだけを見れば投資意欲は旺盛に思えるが、実態はまるで違う。製造業の投資理由は「維持・補修」が3割近く。古くなったり壊れたりしたところを直す、いわば「やむにやまれぬ受け身の投資」が増えているわけだ。

 一方で、「能力増強」を理由にした積極的な投資は2割程度と、過去最低に沈んでいる。儲けを増やすために国内の生産能力を高めようという動きは見られないのだ。

 法人税減税を成長戦略に掲げる安倍政権は、大企業の負担を軽くすれば設備投資が増えて内需も拡大するから、雇用が増えて国民の暮らしに還元されていく、と説明している。だが、設備投資の内容からは、内需拡大や雇用増加の可能性は浮かび上がらない。法人税の負担を軽くしたところで、日本経済にプラスはないのだ。むしろマイナスの影響の方が大きい。

 法人税減税の財源捻出で、外形標準課税の対象を拡大したり、中小企業向けの軽減税率を廃止したりする案が出ている。法人税を払っているのは全体の3割程度だ。利益が出ている恵まれた企業は、それぐらいしかない。だが、安倍政権は、そうした企業をさらに優遇するために、地場の産業や雇用を支える中小零細企業に負担増を強いるのである。最近は地方重視を強調するが、それならなぜ、大企業優遇で中小零細企業の切り捨てに走るのか。まったく理解できない。

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