高橋乗宣
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高橋乗宣エコノミスト

1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。

「人民元経済圏」は破滅の戦争の引き金

公開日: 更新日:

 中国の人民元が国際的な影響力を拡大しているようだ。

 国際金融協会の調査報告書によると、元建て決済は過去1年で2倍以上に増えたそうだ。国際金融取引の1・4%を占め、香港ドルやシンガポールドルはもちろん、スイスフランも抜いたとされる。

 国際貿易決済では、全体の8%が元建て決済で、ユーロ建て、円建てを抜き、2位に躍進したというから驚く。中国企業は、ドル建てよりも元建ての方が価格面で有利になるよう交渉するため、米国企業でさえも元建て決済を1年で4倍に増やしたそうだ。

 中国人民銀行(中央銀行)の金融政策委員会の委員で中国人民大学長の陳雨露氏は、今後3年間で人民元の国際的な地位が日本円を上回るとの見方を披露。これを現地中国の新聞が一斉に報じたようだ。

 習近平国家主席は、「中華民族には侵略や覇権の遺伝子がない」と話しているそうだが、人民元の国際化は囲い込みを狙った戦略に映る。先日はBRICS5カ国が開発銀行を創設し、アジアインフラ投資銀行を設立することも決まった。本部は上海に置かれる。中国としては、いずれは元による新興国融資を積み上げるなどして、「人民元経済圏」をつくりたいのではないか。ドルから覇権を奪おうという狙いが透けて見える感じだ。

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