「美貌のひと 2」中野京子著
絵画に描かれた美女美男の人生を紹介するアートエッセー第2弾。
白馬に乗って暗い路地を進む全裸の美女の絵。女性の名は、「レディ・ゴダイヴァ」(1891年、ジュール・ジョセフ・ルフェーブル画)、中世イングランド・マーシア王国の領主夫人だ。伝承では増税で領民をこれ以上苦しませないよう夫に懇願したところ、「あなたが裸で馬に乗って街を廻るなら、税を引き下げても良い」と言われ、実行したという。「裸で街へ」は当時ヨーロッパで行われていた民衆による懲罰「シャリヴァリ」を踏まえての提案だったようだ。
ほか、詩人バイロンの娘で米国国防総省が開発したプログラミング言語にその名が残る「エイダ」、英国のダイアナ妃やチャーチルの祖先で、女王を陰で操った「サラ」など20余人の生きざまに迫る。
(PHP研究所 1067円)