離婚報道を訴えて2カ月後に別れた中村錦之助・有馬稲子

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<1965年7月>

「てっきり離婚はないものと思っていたから耳を疑った」と振り返るのは元週刊誌デスク。

 7月23日、午後5時30分、東映本社で中村錦之助(当時32、後に萬屋錦之介に改名)と有馬稲子(同33)の離婚会見が行われていた。不在の本人たちに代わり、大川博東映社長が声明文を読み上げ、会見は終了した。

「周囲がなぜ離婚はありえないと信じ込んでいたかというと、2カ月前に夫妻が離婚記事を載せた週刊誌を訴えたばかりだったからです」(同)

 4月7日号の女性週刊誌が「独占特報 中村錦之助・有馬稲子夫妻が離婚決意」という記事(グラビア2ページ、本文6ページ)を掲載。記事が出た直後、夫妻は揃って「スター千一夜」(フジテレビ)に出演して事実無根と主張。「ペンの暴力」(錦之助)、「デタラメ週刊誌」(有馬)と憤った。

 そして5月20日、夫妻は出版社と編集長を相手どり東京地裁に名誉毀損による損害賠償請求訴訟を起こした。ここまで踏み込んだ以上、だれもが当面離婚はないと思うのも当然だったが、有馬と錦之助の母の嫁姑関係はもはや修復が不能なほどこじれていた。

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