佐野実「ラーメン道」出身 藤井英次さんは4店のオーナー
「いやいや、実はもうこれ以上、店を増やすつもりはないんです。むしろ、減らしていこうかなと。お金や名誉より、自分が納得できるラーメンだけ作れたらいい。それには完全に自分の目と手が届く規模にせないかんでしょ。もういっぺん初心に帰って、素材選びからスープ作りまで考えてみようと思うてますねん」
さて、滋賀県栗東市に生まれた藤井さんは7歳の時に父母が離婚。以来、妹と母子家庭で育ち、高校卒業後はレストランやバーで働いた。22歳で喫茶店を開業し結婚。しかし、30歳だった95年、奥さんは1男2女を残して家出、離婚してしまった。
「おふくろに助けてもらいながら喫茶店を切り盛りし、夜も別の商売をしてたんです。でも、そうなると子育てがおろそかになるでしょ。ラーメンなら手っ取り早く儲けられると思い、今の本店をオープンしたんです」
だが、世の中そう甘くはない。毎日、仕込みに追われ、睡眠時間は1日4時間が精いっぱい。ストレスと、不規則な生活がたたり、開店2週間後には急性十二指腸潰瘍で病院に担ぎ込まれてしまった。