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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

力を抜いているように見せる所ジョージの「本気の準備」

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 たとえば、テレビでの彼の一人称は「ワタシ」だ。

「世間話してるときは『オレ』って言うときもたくさんあるんだけど、カメラに向かって『オレはね』とか言えないよ。何、そんなえばってんのおまえ? って思うじゃん。丁寧じゃないじゃん。茶の間でたぶん子どもも見てるし、子どもに対して『オレは』でいいけど、目上の人も見てるから『ワタシは』が一番いいわけじゃん」

 冒頭の番組で真剣に語った上で「と、俺は思うんだよ」と、所は照れ笑いを浮かべる。

 また、所は特番や新番組であろうと、カンペを見ないという。番組を進行する上で、カンペを使うことは今や常識だが、所はそうしない。台本は全て頭に入れておく。カンペを見ることで「茶の間にこうカメラに目線が外れるのが、もう、ちょっと失礼かなと思ってる」(日本テレビ「ナカイの窓」2014年10月8日)からだ。

 もちろん、ゲストの情報も頭に入っている。番組が始まる前にはしっかりとシミュレーションをしその通りにこなしていくのだ。力を抜いているように見えて、全くそうではない。本気だと見せないことこそが所ジョージの「凄み」なのだろう。冒頭の番組で、所はこう語って笑った。

「俺が本気出したら、こうだぜっていうので、ずっと本気出さないで、語っていたいよ。本気出したらこうだよ、いつか見てろよって言いながら、年とる。そんな人生を望む」

 それは、所ジョージが、いつだって本気だからこそ出てくる言葉だろう。

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