神保町「げんぱち」で高尾山の遠足で食べた海苔弁が脳裏に蘇った
30年ほど前、神保町に勤務していたアタシの楽しみは、仕事終わりに古書店をのぞくことと昼飯だった。
この界隈は安くてうまい店が多い。学生の街ということもあるが、舌の肥えた出版関係者や大学教員も多く、安くて量が多いだけでは商売は成り立たないエリアなのだ。やっぱりうまいことが条件。
そんな神保町で50年以上人気の店、それが今回ご紹介する「げんぱち」だ。
アタシが通っていた頃は九段下寄りの路地裏に店があった。先日、所用で神保町へ行ったときにその路地を通るも、げんぱちは存在しない。寂しい思いでさくら通りを歩いていると、懐かしい看板が目に入った。なんとこちらに移転していたのか!
折悪しく休憩時間。近日中の再訪を心に誓った。そんなわけで今回は名物のげんぱち弁当を求めてランチタイムをずらし、午後2時前に飛び込んだ。
店内は旧店舗よりはるかに広いが、この時間で2階はほぼ満席。この辺りの勤め人の多くは出版という仕事柄、時間がズレているのだ。うかつだった。こりゃ、話は聞けないな。
1階厨房前のテーブル席に陣取り、メニューを見る。値段以外は昔とほとんど変わらない。さっそく、げんぱち弁当と思ったら「季節限定カキフライ」の文字が目に飛び込む。通常の弁当にはエビフライ2本、紅鮭照り焼き、ミートコロッケに海苔弁の2段重ね(1100円)。激しく悩んだ末、カキフライ定食でご飯だけ海苔弁(1250円)にしてもらい生ビールの小(420円)を注文。熱いお茶をいただき、待つこと10分。その間、お客は続々入ってくる。
「カキフライ揚がったよ、ビールもね」
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