「ドリーミング・ザ・ビートルズ」ロブ・シェフィールド著 神田由布子訳

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「ドリーミング・ザ・ビートルズ」ロブ・シェフィールド著 神田由布子訳

 2000年に発売された「ザ・ビートルズ1」はビートルズのシングルチャート1位の曲を集めたアルバムだが、いまだに21世紀で最大の売り上げを誇っている。1960年代半ば、記者会見でビートルズの面々は「ブームが去ってからどうする?」という内輪のジョークを言い合っていたという。おそらく4人のメンバーも集まっていた記者たちも、60年後の現在でもビートルズが「世界一偉大なロックバンド」として君臨しているとは予想だにしなかったに違いない。著者は言う。

「現在、ロックンロールが有名な理由はもっぱら、それがビートルズのしたことだったからだ。シェイクスピアの書いたものがたまたま戯曲だったから演劇が有名だったのと同じである」

 なぜビートルズの音楽だけが時代の制約を超えて今もなお多くの人々に聴かれ続けているのか?本書はその謎を解くべく、ほぼ時系列に沿ってアルバムタイトルや曲名を冠した全36章で、それぞれのアルバムや曲の成り立ち、その当時のメンバーそれぞれの関係や心のありようなどを詳細に追っていく。著者は長年ローリング・ストーン誌のコラムニストを務めてきた音楽ライターだが、5歳でビートルズに魅せられ、以降図書館でビートルズのレコードを聴き漁っていたという筋金入りのビートルズマニア。

 ビートルズ関連本は汗牛充棟、既に語り尽くされているのではと思われるが、著者は既存の資料・証言、映像・音源なども踏まえながら、医療従事者に対するサッチャー首相の態度に激怒したポールがサッチャー宛てに電報を打ったという珍しいエピソードもそこここにちりばめている。またポールに対して辛口になるという自らの好みを隠さず、独自のビートルズ像が織り上げられている。往年のビートルズファンからつい最近その名を知ったというニューカマーまで等しく楽しめる、とっておきのビートルズ本。 〈狸〉(白水社 3960円)

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