「チャーリー」世界笑わせた喜劇王の人生につきまとう悲劇

公開日: 更新日:

チャーリー(1992年 リチャード・アッテンボロー監督)

 志村けんが急死し、テレビ各局が追悼番組を放送した。録画しておいたそれらの映像を巣ごもり生活の中で見ているうちに本作を思い出した。チャーリー・チャップリンは志村けんが尊敬する喜劇人の一人だったという。彼の人生はアメリカ現代史の裏返しだ。

 チャップリン((ロバート・ダウニー・Jr)は1989年にロンドンで生まれた英国人。若いころ劇場のパントマイムに出演し、やがて米国ハリウッドに招かれる。彼は独特のメークと動作を考案して数々のヒット作を送り出すが、幾度もの試練を受け、ついには米国政府によって国外に追放されるのだった……。

 映画はアンソニー・ホプキンス演じる記者がスイスに住む晩年のチャップリンをインタビューする場面を差し挟んで進行する。ただ、ホプキンスは通り一遍の質問をする狂言回しにすぎない。「羊たちの沈黙」(91年)でクラリスを追い詰めたレクターの迫力があれば、物語はもっと深みのあるものになっただろう。R・アッテンボロー監督もそのことに反省の弁を述べている。

 それでも本作が面白いのは喜劇王チャップリンの表の顔だけでなく、裏の顔も“暴露”しているからだ。表の顔は移民や障害者に優しいチャップリンの映画づくりと彼の天才的な才能。裏の顔は彼の実母が精神を病んで長らく入院し、退院後も奇行をくり返したこと。有名なチャップリンのロリコン性癖も包み隠さず描いている。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  2. 2

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  3. 3

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  4. 4

    “裸の王様”と化した三谷幸喜…フジテレビが社運を懸けたドラマが大コケ危機

  5. 5

    国分太一は人権救済求め「窮状」を訴えるが…5億円自宅に土地、推定年収2億円超の“勝ち組セレブ”ぶりも明らかに

  1. 6

    人権救済を申し立てた国分太一を横目に…元TOKIOリーダー城島茂が始めていた“通販ビジネス”

  2. 7

    菅田将暉「もしがく」不発の元凶はフジテレビの“保守路線”…豪華キャスト&主題歌も昭和感ゼロで逆効果

  3. 8

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  4. 9

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

  5. 10

    結局、「見たい人だけが見るメディア」ならいいのか? 「DOWNTOWN+」に「ガキ使」過去映像登場決定で考えるコンプライアンス

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性