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荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<5>千葉大工学部はサボりっぱなし 雑誌投稿で生活費稼いだ

公開日: 更新日:

 小学校の頃から親父が、「サン写真新聞」っていうニュース写真が中心の新聞をとってくれたんだ。「いろいろな写真が載ってるから、これ見てればいい」って言ってね。風景や花の写真も載ってた。だから、オレが最初に印刷された写真を見たっていうのは「サン写真新聞」で、オレの写真の先生のようなもんだね。それと、絵とか写真がいっぱい載ってた「国際写真情報」。大判のグラフ雑誌で好きだったんだ。

 下谷中学校に行ってた時は、親父の撮影の手伝いもやってたし、自分でも撮ってたね。伊勢神宮の橋と木を撮った写真を、「これは名作だ」って親父に言われてさ。名作なんかじゃないよ、今思えば(笑い)。中学の修学旅行で、唐招提寺の柱の前に、ひそかに思ってた女の子を立たせて撮った。その頃から女と風景を撮ってたんだよ。

■大学4年の時に、さっちんに出会った

 高校は(都立)上野高校でさ。上野高校から東大行くヤツが多くて進学校でね。立花隆が同級生なんだよ。小説読んだり、純文学も好きだったね。高校の時は、写真家になりたいとか、プロになろうっていうのもなかったんだ。親父も、もしプロになったとしても写真館のオヤジにとか、写真家っていうと職人だから食いっぱぐれがないって思ってたんじゃないかな。大学は兄貴が学校を探してきて、「いま大学で写真のつくところは3つある。日大芸術学部、千葉大、それと写真短期大学(現東京工芸大学)」ってね。オレ、写真科って決めてたっていうより、どうでもよくてね。写真は一番てっとり早くていいや、っていう感じだね、親孝行だよ。資料を見たら、日大は私立で金がかかる。写真撮るのでも短期大学で2年じゃ面白くない。千葉大は国立だし安い。だってさ、カメラ雑誌の投稿写真のアルバイトで学費が払えたんだからね。それで千葉大(工学部写真印刷工学科)にしたんだけど、入ったら、写真っていっても撮るほうじゃなくて化学でね。化学の実験ばっかりでさ、参ったよね。いちばん嫌いなのにさ(笑い)。だから学校サボって、京橋の(国立近代美術館)フィルムセンターに通って映画を見たり、写真を撮ったりしてた。大学4年の時に、三ノ輪駅の近くにあるボロアパートで「さっちん」に会ってね、1年通って映画と写真を撮ったんだ。

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