著者のコラム一覧
一雫ライオン作家

1973年、東京都出身。明治大学政治経済学部2部中退。俳優としての活動を経て、演劇ユニット「東京深夜舞台」を結成後、脚本家に。数多くの作品の脚本を担当後、2017年に「ダー・天使」で小説家デビュー。21年に刊行した「二人の嘘」が話題となりベストセラーに。著書に「スノーマン」「流氷の果て」などがある。

気の利いた格言よりも…迷ったらアニマル浜口を思い出せ

公開日: 更新日:

「締めに近づいております」と青年からのメール。なにを勝手に締めにしているのかしらんが、とにかくメールが来た。

「質問① 小説を書くうえで気をつけていること、また格言のようなものが頂ければ」

 絶対この青年は自己啓発本が好きだなと想像。いや、格言などない。わたしなんぞの格言をきいてどうする。ロクなことはない。とりあえず返事は短く、「気合です」と返信した。

 だってそうなのである。よく物を書くうえで「降りてくる」と表現されることがあるが、そんなものは迷信だ。いや、降りてくることはある。無意識に、また自分がそんなこと知ってたかしら? という事柄までが勝手に脳から体をつたい指先からあふれ出ることはある。とくにはじめたばかりのころは、そのような経験は多かった。が、47歳のおじさんになったいま、そうは簡単に降りてきてはくれない。うん、うんとうなりながら日々髪の毛をかきむしっている。「あ、迷うことなくさらさら書けますね」なんて天才ぶってみたいがわたしはバカなのであり、かきむしる髪の毛があることを死んだ親父に感謝しながら、今日も苦しむのである。

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