「卒論もAIが書けますよ」大学生の話に仰天!おばさんの私が感じた“本当の”脅威【日日更年期好日】

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コクハク

いつかAIにこの世は侵食されるのか

 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期真っただ中の小林久乃さんが、40代から始まった老化現象や身近で起きた日常の出来事についてありのままに綴ります。第59話は「AIとの付き合い方」。

【日日更年期好日】

 私はどうもAIと相性が悪い。世界はAIがスタンダードとなり、ゆくゆくはAIのおかげで不要になる仕事も出てくる、AIがないと生きていけない時代が到来すると騒がれているが、それでも常用はしていない。あくまでも検索エンジンの延長線上のような感覚だ。数年前から皆があまりに騒ぐので、私も試しに文章を書いてもらったが、全く面白くなかった。企画書に至っては付け焼き刃感だけが残るもので、何が言いたいのか全く分からない。文章だけではなく、イラストも同じく。堂々と企業イラストに使っている様子を目にするが、「どうもAIっぽい」雰囲気は否めない。

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「未来はAIが文章を書いてくれるから、もうライターの仕事なんて無くなっちゃうんでしょう…?」

 元ライターの友人にそう言われた時は驚いた。友人が現役で文章を書いていた頃、彼女の文筆ぶりを尊敬していた。「どこからそんなに面白い表現が湧き上がってくるのか」と舌を巻いていた。そんな彼女がAIに平伏宣言しているなんて。私は反論するかのように、こう答えた。

「そういう話題、あちこちで聞くけど、そもそもAIを敵視している時点で私は自分とジャンルが違うと思っている。文章は書くだけが仕事でもなくて、企画が肝心で、それには経験がものを言うわけでさ。作家みたいに天性タイプもいるだろうけど、言葉を操作して文章にできるのは自分だけ。いつかAIに潰されると危惧しているのは、自分の文章に自信がないだけじゃないだろうか」

卒論もAIに頼む時代

 友人は黙ってしまった。友人は自分と同じように、私が文筆界隈にAIが侵食してくることを危惧していると思っていたはずだ。が、結果は違った。続けて馴染みの立ち飲み屋で、アルバイトの大学生がこう言っていた。

「大学の論文もAIがそれっぽく書いてくれるんですよ。“こんなふうに”とリクエストすると、ちゃんと文章ができあがっていますからねえ」

 そう楽しそうに言っていた。最近の学生にとってはきっとAIで書かれた文章が“善”なのだろう。これが私の思うAIの脅威だ。そもそも彼らには読書文化が減っていて、代わりに吸収しているのはSNSに散乱している、摩耗された感動ばかり。彼らを教える側は大変だろうと、同情をしてしまう。AIの話題で私にとどめを刺してきたのは、20代の某クライアント。企業広告の文章をオーダーされたが、企画主旨がどんどん変わってしまい、私の文章修正が難しくなっていた。

「AIは何を使っています? Chat GPT? それなら結構いい文章書いてくれますし、修正もしてくれますよ。使ってみてください」

 それならAIにオーダーすれば良いのに。本音を飲み込んで、言われた通りに試してみたが、表示された文章は血も涙もない、よく分からないものだった。文章に血や涙が必要なのかと問われると、それこそAIとの向き合い方と同じで「私は必要だ」と言いきりたい。うーん。たかがAI、されどAI。このままモヤモヤしたまま、AIとともに2026年を生きるのかと思っていたところ、たまたま同席した同業の文筆家がChat GPTの面白い使い方を教えてくれた。

「ああ、私も小林さんの言う検索エンジンの延長線みたいなものとして使ってますよ。でもせっかく何か質問をするんだからと思って、Chat GPTを渋谷GALに設定して、全てギャルっぽく答えてもらっているんですよ。和みますよ」

 なるほど、と膝を打つ。早速、その日から「難波のおばちゃん風に」「映画『極道の妻たち』の岩下志麻みたいに」「九州男児っぽく」と、回答イメージを変えるようにした。これが楽しい。ちょっとした悩み相談も爆笑で終わってしまう。今年は冗談めかしながらAIとつき合っていくかと、心づもりを決めた。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

(小林久乃/コラムニスト・編集者)

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