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荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<43>いかりや長介さん、ドリフターズのみんなと撮った写真も懐かしい

公開日: 更新日:

 これはザ・ドリフターズだね。雑誌の連載で、いかりや長介さんを撮影したときに、ドリフターズのメンバーやスタッフたちみんなと撮った写真なんだよ。加藤茶さん、志村けんさん、高木ブーさん、仲本工事さん、全員写っているね。この撮影の後にね、上野公園に行ったんだよ。いかりや長介さんがゴリラの真似をしてくれてね、懐かしいなぁ~(雑誌『太陽』の連載で撮影、1974年12月号<藝人楽屋噺>「いかりや長介」)。

 この頃、いろんな人を撮ってたけど、印象的だったのが王貞治さん。全盛期の頃だね。王さん、優しくてね、いい顔してるんだよ(『太陽』連載<実力者たち>で撮影、1975年4月号「王貞治」)。撮影の前に王さんのことを少しだけ調べてたら、投手をやったことがあるっていうじゃない。高校の早実時代はピッチャーなんだよね。だから後楽園球場でフリーバッティングが終わったあとに、ピッチャープレートに座ってほしいって頼んで、パパッと撮ったんだ。そうしたら広報が飛んできて、「王が痔になったらどうするんだ!」とか怒られちゃってさ(笑)。ところが本人からはウチに来ないかって誘われたんだ。家に招いてくれたんだよ。それで入浴シーンを撮らせてくれたんだ。驚いたね。風呂がね、小さいんだよ。「なんでこんな偉大なスポーツマンが!?」って思っちゃうくらい小さくてね。風呂でくつろいでるところを撮らせてくれたんだ。

王さん、やっぱり天才なんだよ

 ピアノをポロロンって弾いてくれたり、「このあと高校の創立のパーティーがあるから行かない?」なんて誘ってくれたりしてね。その誘いは断ったけどね(笑)。王さん、素敵な人なんだよ。

 野球をしているときの王さんは、もちろん気の張ったいい顔だったけど、仕事を離れたら離れたで、とても肩の力が抜けたいい顔をする。そういう人はなかなかいないよ。やっぱり天才なんだよ、あの人。好きだなぁ。

 普通はさ、王貞治を撮る! となると、「王さん、ちょっとバッティングのポーズをお願いします」ってなるわけじゃない。それがいきなりマウンドに座れって言うもんだから、嬉しかったのかなぁ。ピッチャープレートに座ってくれなんて、いないよね。変わってるヤツだと思ったのかな。家に招いてくれて、撮らせてくれてさ、嬉しかったね。

(構成=内田真由美)

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