ジャンリュック・ゴダール監督死去 “語録”でたどる挑戦と革命の人生

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「大島の『青春残酷物語』は真のヌーベルバーグだ。私やトリュフォー監督よりも前に、既存の映画とは全く違う映画を撮っていた。北野も素晴らしい。私は『HANA-BI』を気に入っているが、それは日本映画だからではなく、普遍的な作品だからだ」

 日本映画については、こうも続けた。

「もともと日本映画というものは存在しない。ここで言うところの日本映画とは、日本人という民族の顔が見える映画のこと。映画は民族が自分たちの姿を見極めようとする手段でもあるが、国民全体の顔が分かるような映画は現代には存在していない。映画は難しい時期にきている」

 ジャンプカットなど、ご法度だったつなぎを映画界に広めた「勝手にしやがれ」のほか、「気狂いピエロ」「カルメンという名の女」など約100本もの作品を世に送り出した。その影響は映画の枠をも超えた。1967年の作品「中国女」は、YMOが同タイトルのテクノポップを1978年のアルバムで発表したのは中高年のファンには有名な話だろう。

「沈黙あり音楽ありという映画だが、決して同じリズムではない。決められた正確なリズムをぶち壊すこと。もし撮影のために、1日1万人のエキストラを動員したものの、急遽その1万人の代わりに一人の人間のクローズアップを撮りたくなったら、撮るべきだし、予算を超過しない限り、撮る権利がある。映画とは、現実の人生ではやらないことをやることだ」

 映画評論家の山田宏一氏はその著書で、そんなゴダール氏の語録を記している。晩年の作品「さらば、愛の言葉よ」(14年)では3D撮影に臨み、挑戦と革命を続けたゴダール氏。最後は医師処方の薬物を自ら使用し、人生の幕を閉じた。

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