著者のコラム一覧
山田勝仁演劇ジャーナリスト

なぜ「失敗」は繰り返されるのか…青年劇場「失敗の研究~ノモンハン1939~」は骨太の舞台

公開日: 更新日:

 日米開戦前夜の1940年に各省庁、軍・日銀のエリートで設立された「総力戦研究所」が「日本必敗」をシミュレーションしたにもかかわらず、その研究成果は握り潰され、日本は無謀な戦争へと突き進んだ。劇作家・古川健の名作「帰還不能点」だが、本作も旧日本軍による無謀・無策な作戦によって戦闘員の半数が戦死した「ノモンハン事件」をモチーフに「戦争の不条理」を描く骨太の舞台となった。

 1970年。ベトナム反戦と学生運動が吹き荒れた時代。

 総合雑誌に勤務する沢田利枝(岡本有紀)は、経理から抜擢され、初の女性編集者として張り切っていた。彼女が手がける最初の企画は1939年に起きたソ連との国境紛争「ノモンハン事件」。日本が初めて戦車と戦闘機による近代戦を経験したもので、日本軍はなすすべなく壊走した。「無謀な戦争、とりわけベトナム戦争とも通じるのではないか」という歴史小説の大家・馬場(吉村直)からの持ち込み企画だった。

 先輩の後藤(矢野貴大)の協力で沢田は熱心に取材する。ノモンハンの生き残りの一兵卒・清水(島本真治)、全滅を避けるため撤退命令を出したことで関東軍参謀から自決勧告された片岡中佐の妻・千恵子(名川伸子)、元陸軍士官・遠藤(板倉哲)、元関東軍参謀・松岡(大木章)……。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」