2月大歌舞伎は中村屋ゆかりの猿若祭 松竹の戦略はうまくいっている

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 2月は中村屋ゆかりの猿若祭。1976年が第1回で今年は50年目だが、毎年開催されてきたわけではない。いまの勘九郎・七之助によって3年連続となった。2月は1月の反動で客の入りは悪くなるものだが賑わっているから、松竹の戦略はうまくいっている。

 中村屋の他、片岡仁左衛門、尾上菊五郎(八代目)、尾上松緑、中村鴈治郎、中村芝翫、中村時蔵らが一演目ずつ出る贅沢な顔ぶれ。

「積恋雪関扉」では勘九郎・七之助に菊五郎が加わり、見応えがある。菊五郎は脇にまわると、月光のような静謐さがあり、幻想的な雰囲気が漂う。

 夜の部は勘九郎・七之助がそれぞれの現時点での到達点を見せる。「一谷嫩軍記」の「陣門 組打」は、中村屋では17代目も18代目も演じていないが、この大役に、勘九郎は子の勘太郎とともに挑んだ。

「組討」の次の場面である「熊谷陣屋」を知らない人には、熊谷が敵である敦盛を討つのに、まだ若いとはいえ、なぜあんなにも逡巡するのかが分かりにくい。実は我が子を身代わりにしているわけだが、それが観客に明らかになるのは次の「熊谷陣屋」の場面で、今回は上演されない。一方、歌舞伎ファンは「熊谷陣屋」は何度も見ている(実際、先月は團十郎が上演している)から、入れ替わりトリックを知っているので、熊谷が自分の子を殺す場面として見ている。役者としては、両方の観客を相手にしなければならない。外見は「戦争の悲劇」のドラマだが、主君の命には絶対に従わなければならないという価値観への異議申し立てのドラマなのだ。勘九郎は全身全霊で演じ、無常感が漂う。

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