三谷幸喜さんと語り尽くした「あの頃テレビは面白かった」
SNSや配信メディアに押され、すっかり往年の勢いをなくしている令和のテレビ。しかしそれはかつて「娯楽の王様」だった。“元祖テレビっ子世代”がその魅力を語り尽くす書籍がリリースされる。
4月22日に新潮社から刊行される「もうひとつ、いいですか?」は、日本を代表する脚本家・演出家の三谷幸喜さんとテレビを30年以上取材している私が、こどものころから夢中になったテレビ番組について語り尽くした対談集だ。
日本の家庭のテレビ普及率が8割を超えた1960年代初めに生まれた我々は、「元祖テレビっ子世代」。働き方改革やコンプライアンスといった言葉ははるか宇宙の向こうにあったような高度成長期、シリアス、コメディー、音楽、お色気、中にはちょっと怪しげな番組まで、ごった煮のように日々、放送されるテレビは、間違いなく、娯楽の王様で、我々はその王様に魅了されてきたのだった。
対談は2カ月に1度。「海外ドラマ」「ホームドラマ」など、テーマを決めて話すことになったのだが、面白かったのは、心に残っているのは、必ずしも大ヒットした番組だとは限らないということだった。
たとえば、三谷さんが夢中になったという72年の「スーパースター.8☆逃げろ!」は、世界中を逃げる藤村俊二を大橋巨泉、杉浦直樹らが追いかけるというオール海外ロケの画期的な番組だが、たった7回の放送で終了。また、金田一耕助が出てくる「横溝正史シリーズ」が大好きで、「犬神家の一族」「悪魔の手毬唄」もさることながら、なぜかふたりとも77年に放送されたアングラ度の高い「三つ首塔」(ヒロインに真野響子、小池朝雄、小松方正、殿山泰司らくせ者俳優勢揃い)に注目していたことが発覚。お互い、「『三つ首塔』好きの人に初めて会った!」と驚いたりもした。
もちろん、マニアックな番組だけでなく、「国盗り物語」「黄金の日日」など大河ドラマ、「刑事コロンボ」など有名なドラマの話も出た。大ヒットしたこの倒叙ミステリー(犯人が最初にわかるスタイル)「刑事コロンボ」が、やがて三谷さんの代表作「警部補 古畑任三郎」誕生へとつながった過程も判明する。ちなみに三谷さんが当初古畑役に意外な人を想定していたことも、明らかになった。
対談のきっかけになったのは、今の若い人たちが、テレビは見ませんと語るのを見て、悲しかったこと。テレビって面白いよね、と言いたかった。
「0011ナポレオン・ソロ」「西遊記」「土曜ワイド劇場 天知茂の美女シリーズ」「白い巨塔」などの番組に心当たりのある方、「テレビばっかり見て」と親ににらまれていた方、昔のテレビは面白かったと思っている方には、ぜひ、手にとっていただきたい。そして、延々と続く我々の「テレビ雑談」の仲間に入っていただけたら、とてもうれしい。


















