本田宗一郎氏に松下幸之助氏も…なぜ成功している人は掃除を大事にしているのか?

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成功者は掃除やキレイな空間を大事にしている

 「掃除には、人生を変える力がある」と提唱する、そうじ力研究家の舛田光洋氏は、部屋をキレイにすることで、人の行動が変わり、思い(心)が変わり、そして人生までも変えるというーー。本稿は、舛田氏の著書『あなたの部屋は、あなた自身です。』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

  ◇  ◇  ◇

「掃除って家事の一部でしょ?」

「家庭のことはパートナーに任せているので……」

 ちょっと待ってください。掃除を、単なる家事や日課として片づけてしまうのはもったいないことです。古今東西、掃除やキレイな空間を大事にしている成功者はたくさんいます。

 たとえば、スターバックス元CEOのハワード・シュルツ。シュルツは、店舗の清潔さと整理整頓を非常に重視。「清潔さも体験の質を左右する要素だ」と述べ、 ミステリーショッパー(覆面調査員)を使って店舗の清潔状態を定期的にチェックしていたと語っています。

 本田技研工業(通称ホンダ)の創業者・本田宗一郎氏も、掃除を「安全」と「品質」の基本と考えていました。いまもホンダの研究所や製作所では、「良い製品はきれいな職場から生まれる」(Hondaフィロソフィーより)という考え方から、汚れの目立つ白い作業服を採用しています。 

 そして、パナソニック創業者の松下幸之助氏。掃除を「人間の基本」と考えていました。「掃除ひとつできないような人間だったら、何もできない」と塾生に語り、清掃は人間性を磨く修養のひとつとして重視していたのです。

 このように見ていくと、掃除は「片付け」や「清潔のための作業」だけではないのがおわかりでしょう。

■小さな秩序の乱れが重犯罪につながる――割れ窓理論

「いくら掃除をしたからって、誰もが成功できるわけないでしょ」

「部屋が汚くたって、心は豊かでいられるはず」

 こう思う人もいるでしょうか?

 その場・空間とそこにいる人の生き方には、「相関の法則」がある――。これは僕の清掃業での経験からも実感しています。
それだけではなく、これにはエビデンスがあるのです。

「割れ窓理論」と呼ばれ、小さな秩序の乱れを放置すると、無秩序は地域全体に広がり、やがて重大な犯罪につながる--というものです。

 これを提唱したのは、政治学者のジェームズ・Q・ウィルソンと犯罪学者のジョージ・L・ケリングです。小さな秩序の乱れとは、たとえば「割れた窓」「落書き」「ゴミの放置」などです。

 この割れ窓理論の元になったのは、スタンフォード大学の心理学者、フィリップ・ジンバルドー教授の実験でした。

「高級住宅街に“窓ガラスが割れている車”を放置するとどうなるのか」というものです。
割れた窓ガラスの車は、車のドアをこじ開けられ、車内のハンドルなどの部品が盗られ、バッテリーやガソリン、しまいにはタイヤも盗られました。そして、1週間ほどで、スクラップ状態になったというのです。高級住宅街であっても小さな秩序の乱れが、やがて車をスクラップ状態にすることがわかったのです。

 この理論を応用したのが、ニューヨークの地下鉄でした。1980年代以降、とても治安が悪くて有名だったのです。

 無賃乗車、ゴミの放置、落書き、強盗、最終的に殺人事件が起こるまでになっていました。そこで、1994年以降、ニューヨークのルドルフ・ジュリアーニ市長と、ウィリアム・ブラットン警察本部長の政策に割れ窓理論を取り入れました。

 まず車両に描かれた落書きを消しました。車内を清潔に保ちました。無賃乗車を徹底的に取り締まり、結果的には、地下鉄と駅周辺で起こる重犯罪事件の75%も激減させました。

 この法則にはさまざまな応用がなされています。たとえば「札幌すすきの」です。小さな乱れ(駐車違反・ゴミ・暗がり)を放置せず改善・管理することで、「ここはきちんと監視されている地域/犯罪を起こしづらい地域」というメッセージを発信し、犯罪発生の機会を減らそうというアプローチが取られています。

 また近年、割れ窓理論はアメリカで再び注目を集めています。2020年代に入り、公共空間の秩序回復や安全性の向上を目的とした政策が、連邦・州レベルで進められています。たとえば2025年には、「アメリカの路上から犯罪と無秩序をなくす(Ending Crime and Disorder on America 's Streets)」と題された「大統領令」が出され、公共空間における無秩序な状態や違法行為への対応を通じて、地域の安心感を回復する方針が示されています。

 こうした取り組みは、「環境の乱れが、人々の意識や行動に影響を与える」という割れ窓理論の考え方と通じるものです。環境を整えることが、社会全体の秩序や安心感につながるという発想は、いま再び見直されています。

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