丸山ゴンザレス(ジャーナリスト)

公開日: 更新日:

4月×日 趣味としての読書、というものをしばらくやっていない気がする。海外取材に執筆、さらにYouTubeでの発信が主な仕事になってから、本は完全に「資料」という位置づけになった。特にインタビューでは著者と直接向き合うため、どこを拾い、どう質問を投げるかという視点で読むことになる。そのため読書はどうしても作業的になりがちだ。

 とはいえ、もともと本を読むこと自体は好きな性分である。ページをめくり始めると、気づけば深く没入してしまう。先日、武田一義氏の漫画「ペリリュー ─楽園のゲルニカ─」(白泉社 880円)を取材前に読み直した際もそうだった。漫画とはいえ全15巻ある長編だ。最初こそ躊躇したが、結局は外伝を含めて全巻を一気に読破してしまった。本来なら序盤の数冊で十分だったはずだが、作品全体の流れを体感したいという欲求が勝ったのだ。

 同じことは真鍋昌平著「九条の大罪」(小学館 770円)でも起きた。すでに最新刊まで読んでいたにもかかわらず、仕事で必要になったことをきっかけに再読し、そのまま止まらなくなった。

 漫画が続いたので活字の本にも触れておきたい。梶原阿貴氏の「爆弾犯の娘」(ブックマン社 1980円)も印象に残った1冊である。YouTube出演の依頼をしていたこともあり、読まねばならないという前提があった。普段の自分なら「読め」と言われると反発したくなるのだが、日本赤軍やその時代背景に関心がある身としては、個人史から迫る語りの生々しさに強く引き込まれた。結果として、仕事とは別の次元で楽しめた1冊だった。

 こうして振り返ると、読書は依然として仕事の延長線上にある。それでも、ページの中に入り込む感覚は失われていない。国内外を飛び回り、腰の落ち着かない日々の中ではあるが、趣味とは言い切れないまでも、読書を十分に楽しんでいるのもまた事実である。

【連載】週間読書日記

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    りくりゅう電撃引退も三浦璃来だけ競技継続の「ウルトラC」…ごく身近にも“前例”あり

  2. 2

    りくりゅうペア大逆転金メダルを呼んだ“かかあ天下” 木原龍一はリンク内外で三浦璃来を持ち上げていた

  3. 3

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

  4. 4

    松重豊がついに引退を示唆し2代目探しに言及…「孤独のグルメ」井之頭五郎を継ぐ有力候補者の実名続々!

  5. 5

    長女Cocomi"突然の結婚宣言"で…木村拓哉と工藤静香の夫婦関係がギクシャクし始めた

  1. 6

    木下グループにアスリート殺到 「社長自腹4000万円」だけじゃない驚きのサポート体制

  2. 7

    1ドル=160円にらむ円安進行に後手後手…日銀「4月利上げ後退」で庶民生活はジリ貧の一途

  3. 8

    桑田真澄氏が《ポスト阿部に浮上》の悪い冗談…ファンの期待と球団の評価には大きな乖離

  4. 9

    足元ではコメ値下がりも新たな問題が…加工米が4万トン不足で日本酒業界もピンチ

  5. 10

    玉川徹、橋下徹、杉村太蔵、カズレーザー…いま一番視聴率が取れるコメンテーターは誰?