著者のコラム一覧
本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。2019年、「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)が、山田孝之主演でNetflixで映像化配信され大きな話題に。最新刊に、「東京降りたことのない駅」(大洋図書)、「全裸編集部」(双葉社)などがある

抜擢したカメラマンたちは村西とおるの“サンドバッグ軍団”

公開日: 更新日:

 日比野正明は野田義治より15歳年下。1961年生まれの27歳。村西とおるのもとで助監督を務めてきた。当時、村西とおるは40歳、あらゆるものを燃やし尽くす火砕流のような時期であり、入社してきた助監督たちは半日で逃げ出した。指示通りできないと殴る蹴るは当たり前、AV撮影ではいきなり男優として起用させ、勃たないと鉄拳制裁。

 山奥のロケ地から夜中、25キロ先の駅まで逃亡した助監督、都内のスタジオから「たばこを買ってきます」と言い残し運転免許証の入ったリュックを残したまま逃亡した助監督。まさにブラック企業50社が束になっても勝てないのが村西とおる率いる撮影隊だった。殴られ蹴られる助監督チームはサンドバッグ軍団と呼ばれ、日比野正明はチーフになった。

 日比野青年の人生哀歌。

 岐阜県の進学校を出た日比野は、家業の自転車屋を継ぐ前に会社員生活をすごそうと、内装会社に入社したがそこがブラック企業だった。入社した高卒組100人は朝から晩まで倉庫で壁紙や材木運搬を任されて3年間で7割が退社した。高卒は兵隊要員として一生扱われることに気づいた日比野は、「週刊プレイボーイ」のグラビア水着を撮れるカメラマンになろうと、面識を持ったカメラマンに弟子入りした。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る