<78>金子信雄は裸になった女優の上に生きたタコを投げた

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 1988(昭和63)年3月、“副業”の料理番組で儲けたカネで、金子信雄は芝居を上演した。寺をホテルに改装した住職が客に女体盛りの料理を振る舞うという物語だ。その台本を書いたのが牛次郎である。

「ネコさんも人が悪いんだよな。千秋楽に楽屋で会ったら『きょうはよう、牛ちゃん、見ものだぞ』って、うれしそうに言うんだよ。でもさ、そのあと、しばらく見かけなくなって。みんなで『楽なのに、どこ行ったんだろうね』って心配してたんだ。ようやく姿を見せたのは本番の前。何事もなかったかのように芝居が始まった。で、いざ女体盛りのところになったらネコさん、生きてるタコを取り出して、横たわっている裸の女優さんの上にポンッて放り投げたんだよ。それで『ぎゃあーー』って、大騒ぎさ」

 金子は本番が始まるまで、このタコが逃げないようにひっそりと1人で見張り番をしていたのだという。

「ネコさんはこれをやるために、わざわざ朝イチで築地まで足を運んで、生きのいいタコを仕入れたんだよ。バカじゃねえかって、笑っちゃったけど、やられた方はかわいそうだった。まあ、切ったタコの足をもらった客は喜んでたから、舞台としては良かったのかもしれないけどな」

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