初代なでしこ監督が「史上最悪」と酷評 サッカーを“冒涜”したW杯はどこへ向かうのか

公開日: 更新日:

 カナダ、アメリカ、メキシコの3カ国で開催された拡大W杯が幕を閉じた。日本時間20日午前4時にキックオフされた決勝は、持ち前の攻撃力と7試合で1失点の堅守を融合させたスペインが、「神の子」メッシ率いるアルゼンチンを圧倒し、4大会ぶり2回目の優勝カップを掲げた。

 決勝に合わせてニューヨークのトランプタワーで行われたイベントに出席した国際サッカー連盟(FIFA)のインファンティーノ会長が「これほど素晴らしい成功を収めたのもアナタなしでは不可能だった。これまで人類が目撃した最も偉大な社会的にして文化的なイベントだった」と、歯の浮くような賛辞を送った相手はアメリカのトランプ大統領。そのトランプも、「史上最も成功したスポーツイベントになった」と、蜜月関係にあるFIFA会長を持ち上げながら自画自賛したが、とんでもない話ではないか。

 今大会は出場国が4年前から「16増」の48となり、試合数も「40増」の104に大幅にアップ。商業主義化とエンターテインメント化も一気に進み、これらによって多くの弊害が顕在化したW杯でもあった。

 元ドイツ1部ビーレフェルトでヘッドコーチを務めた初代なでしこ専任監督の鈴木良平氏が、「マイナス面ばかりが目立ったW杯だった。今大会に起きた悪しき事例をきちんと検証し、今後につなげなければ北中米W杯は史上最悪の大会として名を残すでしょう」とこう続ける。

「決勝では『約15分』と規定されているハーフタイムに有名歌手を呼んでライブパフォーマンスを約27分間も行い、まるでアメフトのスーパーボウルのド派手なハーフタイムショーのようだった。また前後半の22分ごろに行われる給水タイムによって、全試合がアメフトの4クオーター制のようになってしまった。やはりアメフトの猿真似でしかない優勝リングの導入にも呆れたが、サッカーそのものに対する冒涜としか言いようのないことが多発し、ほとんどのサッカー関係者が『もう二度とアメリカでW杯を開催してほしくない』と思っているのではないか」

 サッカーに対する冒涜と言えば、アメリカ代表FWのレッドカード、出場停止処分を巡る、トランプ大統領の“政治介入”が最たる例だ。トランプ大統領自ら「処分の見直し」を求めてインファンティーノ会長に直接電話をかけたことを認め、結果的にレッドカードが1年間の執行猶予になった。前代未聞の裁定はW杯への信頼を失墜させ、スポーツの公平性を根底から揺るがしたにもかかわらず、「人類が目にした最も偉大な社会的にして文化的なイベント」とはどの口が言うのか。

 今大会から導入された「給水タイム」も非難囂々だった。日刊ゲンダイのコラムでお馴染みのFIFA元職員でスポーツジャーナリストのリカルド・セティオン氏は、「中断が多いと緊張が途切れたり、試合の流れが変わってしまうこともある」とこう言っていた。

「給水タイムの約3分間を各国テレビ局が広告枠とした。アメリカのFOXテレビの場合、その総広告収入は2億5000万ドル(約400億円)と聞いている。アルゼンチンのスカローニ監督、フランスのデシャン監督といった名将が『これはサッカーじゃない』『なんのプラスにもならない』『サッカーが目の前で変質していく』とはっきりと批判している。そう感じているサッカー関係者は少なくありません」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • サッカーのアクセスランキング

  1. 1

    酒浸り、自殺説も出た…サッカー奥大介さんの“第2の人生”

  2. 2

    リール上田綺世が2試合連続ゴール! 仏レジェンドFWジル―を差し置く“序列変化”にフランス仰天

  3. 3

    鈴木彩艶のプレミア躍動が小久保ブライアンに思わぬ「追い風」 欧州5大リーグのクラブが熱視線

  4. 4

    リヨン電撃移籍の中村敬斗は“副業”もウハウハ? 化粧品やアパレル会社からCMオファー続々

  5. 5

    佐野海舟のプレミア移籍を妨げた“お金の事情” クリスタルパレス入りかなわず独マインツ残留に

  1. 6

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  2. 7

    鈴木彩艶〈前編〉恩師が語る“根っからのレッズの子”の素顔と飛躍の原点(浦和ジュニアユース・ユース元監督・工藤輝央)

  3. 8

    上田綺世〈前編〉代表入りの裏に森保監督の長男が繋いだ縁「父が見たいと言っている」(法政大サッカー部元監督・長山一也)

  4. 9

    鈴木彩艶〈後編〉LINEアイコンを代表から浦和に戻した…23歳守護神の謙虚さの礎(浦和ジュニアユース・ユース元監督・工藤輝央)

  5. 10

    鈴木彩艶「急がば回れ」でつかんだプレミアの夢 マンU断ってから4年、流暢な英語を駆使して世界一へ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本ハム新庄監督「来季続投の6年目突入」に現実味…V逸決定的になる中で注目されるその去就

  2. 2

    永瀬廉のファンミに不満の声…King & Prince分裂後の"集金アイドル"活動とちらつく結婚

  3. 3

    「橋上代行昇格は絶対ない」 巨人来季監督に浮上する松井秀喜氏、高橋由伸氏に次ぐ「第3の男」

  4. 4

    ソフトバンク山川穂高が“戦力外”へ崖っぷち…3カ月ぶり復帰即スタメンは「最後通告」

  5. 5

    「恫喝暴行&中絶強要」報道のソフトバンク村上泰斗(19) 素質だけなら山本由伸クラスだったのに…

  1. 6

    女優・朝岡実嶺さん15年ぶりに舞台出演「亡き夫はどこかで見守っていると思います」

  2. 7

    「卵」を食べる頻度が高いほど認知症の発症リスクが低くなる

  3. 8

    円急騰でFX大損「逆張り」投資家が死屍累々…今や市場は月間1000兆円規模で世界最大級

  4. 9

    福山雅治「不適切会合」問題ほぼノーダメージでTVジャックのウラ…中居正広氏らとは「次元が違う下ネタ」とは

  5. 10

    板野友美“匂わせ”NY一人旅?反射したガラスに男の姿が…