出口保行さん<4>“技術職”出身が異例の秘書課勤務に
法務省にいた22年間のうち、2年間は法務大臣官房の秘書課にいた。通常は法律や行政キャリアのポジションだ。心理職が起用されることの少ない“異例”の配属。任されたのは秘書課国際室の責任者だった。
「辞令が出る前の2年間は、民間の研究所に出向していました。それより前に半年間、研修で国連に行ったこともあったので、いずれは国際系の仕事をするのかなとは思っていたものの、辞令をもらった瞬間は『私は心理職ですよ?』『秘書課ってどこにあるんですか?』って聞いてしまいました。部署があることは知っていますけど、誰がやっているのか、どこに部屋があるのかなんて分かりません。心理職にとって最も幸せなのは、分析しながら論文を書いてご飯を食べられること。秘書課配属で得なことなんてありません。現場を外れるのが一番嫌ですからね」
国際室は国際条約の締結の仕事を担う部署だ。出口さんは「化学兵器禁止条約」や「生物兵器禁止条約」の締結作業に関わった。