娘との関係を改善したい…場面別「効く言葉」専門家が指南

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「お父さん臭い……と避けられている」「数年、ろくに口も利いていない」――。いくつになっても、娘との関係に頭を悩ませるサラリーマンは少なくない。しかし、これは単純に嫌われているわけではなく、男女の脳構造に違いがあるらしい。「娘のトリセツ」(小学館新書)の著者で、人工知能研究者の黒川伊保子氏に聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 思春期でも父親と買い物や旅行に出かける娘がいる。一方……、育て方を間違ったのだろうか?

 実は思春期の娘は、みな脳の捉え方は同じ。反抗するかは育て方ではなく、父親の対話力の違いだ。

「思春期に入ると、女性の脳には警戒スイッチが入ります。遺伝子の生殖相性の悪い相手にうっかり妊娠させられるわけにはいかないので、基本的に男性からのアプローチには、すべて迎撃態勢を取ります。遺伝子の近い父親もまた、生物学的に敬遠される。その迎撃態勢のスイッチが入ったばかりで、うまくコントロールできないのが『思春期の娘』と考えたら分かりやすいでしょう」

■会話は「分かるなあ」から始める

 たとえば、娘が好きな音楽を聴いていたり、漫画を読んでいたとする。父親としてコミュニケーションのつもりで「それ、何?」と聞いても、警戒モードの女性脳には「なにくだらないことをしてるんだ」という攻撃に変換されるという。

「質問ではなく、まずは『それ、いいね』と肯定の声をかければ、対話がスムーズになる。反抗娘になるかどうかは聞き方の違いなのです」

 つまり、「いつ」「誰と」「どこへ」といった5W1Hの質問形式の対話は嫌われる。

「一方、男性脳は状況確認と問題解決のために対話をするので、『学校はどう?』『それは何だ?』などといきなり5W1Hで話しかけます。それだけに娘の提案にいきなり問題点の指摘で返したりしがちで、『部活をやりたい』という娘に、『じゃあ、塾はどうするんだ?』と返す。女性脳は共感を求めています。問題点を指摘するときも『分かるなぁ』とか『なるほどなぁ』と受け止めてから、共感型対話ができる父親は、思春期の娘とも良い関係を築けます」

 部活を始めたいという娘には、「そうだよなあ。バレーボールで汗を流すのもいいよな。そしたら塾はどうしようか?」と最初に共感を入れて切り出すのが正解だ。

「また、思春期娘は『あれこれ聞いてくるのがうざい』という声も多い。友達と出かけると言われて、『どこに行くの?』『誰と行くの?』『夕飯は食べてくるの?』と矢継ぎ早に質問するのもやめましょう」

■「男性の原型」を父親に見いだす

 娘は、家庭で父親の「おなら」や「いびき」に幻滅するわけではない。父親を嫌いになるのは、妻(母親)への態度だという。

「妻をないがしろにする父親は、娘を心底がっかりさせます。娘は父親に『男性の原型』(男とはこういう生き物である)を見いだします。それは、自分に対する態度ではなく、妻に対する態度からそれを感じる。娘の前で妻を『おまえ』呼ばわりしたり、『太ったな』とからかい、見下す発言をしたり、優しい対話ができないでいると、娘は男性に対する警戒を深めます。迎撃態勢も強まりますよ。まずは家庭内で妻との優しい対話を心がけてください」

出戻り娘には「生まれてきたときは本当にうれしかった」が響く

 半年以上、断絶している娘と対話を開通するにはどうすればいいのか。

「有効手段は2つあります。1つは相談を持ちかけること。これは大学生や社会人の娘との会話のきっかけにはいいでしょう。『母さんをレストランに誘おうと思うけど、どこがいいかな』『会社の女性に返すメール、文面はこれできつくないかな?』とアドバイスを請うのです。意見を求められると女性は対話を始めやすい」

 もう1つは、社会的事案の意見を聞く。とくに10代の娘との話のきっかけにはおすすめだ。

「『トランプ大統領、どう思う?』『9月新入学って、ピンとくる?』と時事ネタから話の呼び水をつくります。最初は考えるのをおっくうがってスルーするかもしれませんが『お父さんはこう思うな』と持論を話してみる。社会的事案を親と話し合うのは、一人前として認められた気がしますから、受け入れやすいです」

 さらに折を見て、「おまえが生まれてきたときは、本当にうれしかったなぁ」としみじみと、誕生の喜びを伝えるのも効果的だ。

「このセリフ、出戻りの50歳の娘にも効きます。悪い気はしませんし、親への感謝の気持ちを実感します」

■彼氏との旅行も「信頼している」と送り出す

 娘の最大の心配事といえば、異性問題だろう。彼氏と旅行に行くというが、とくに未成年や学生で責任が取れない立場のカップルのケースは問題が起きてからでは遅い。

 父親として引き留める方法は?

「まず、18歳以下のカップル旅行は全否定していいと思います。18歳までは生殖ホルモンが過剰に働くことがあり、心で本能を制しにくいので、そうすべきです。社会通念上、本人たちも納得すると思いますし、その際、『きみに何かあって傷ついたら悲しいよ』と伝えます。ですが、たとえ叱っても、行くときは行くものです。巧妙な嘘をついて隠れて行くほうが危ない。18歳以上のケースでは父親は、どこまでも娘を信頼している体で話を進めるしかないと思います。たとえば、『きみのことは信頼している。賢い女性だから。彼もきみが選んだ人だから、きっときみを守ってくれるだろうね。気をつけて行っておいで』と送り出せばいいのでは? 心配だと思いますが、父親のおおらかな信頼は娘にとって、むちゃなことができなくなる呪文のようなものです。娘というのは若いうちに限らず親への罪悪感を感じやすく、彼氏が強引に迫っても父親の悲しむ顔が浮かんでしまうことだってあります」

 父親の大人力を見せつけておくのも有効だ。

「旅行の間、彼氏の未熟ぶりにがっかりすることも多いもの。彼氏と旅行に出かけると言われたら、その前に家族で外食や旅行の機会を持つのも手です。飛行機に乗るのも、ホテルにチェックインするのも、レストランでワインをチョイスするのも、“父親ならかっこ良くエスコートしてくれるのに。しかも、カードで一発で……”なんてことが、案外、若くて未熟な男子から娘を守る『心のバリアー』になるかもしれません」

 逆に30代、40代の大人になった独身の娘の場合、浮いた話がないと心配になるが――。

「独身の娘に対する相談も受けますが、今後、娘と楽しく会話したり、家が居心地がいいと思ってもらうには『将来どうするんだ』とか『何をするつもりなんだ』は聞いてはいけません。娘がひとりで老いていくのが心配なのは分かりますが、働いていたら貯金や退職金で自分自身の生活はできます。むしろ自由な分、娘に『家に帰りたい』と思ってもらえる関係なら、介護が必要なときも的確に動いてくれるでしょう。尊重してあげるのが一番です」

 コロナ禍で面と向かって対話する機会も減ったが、娘がいくつになっても味方で居続けるのが得策だ。

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