値上がりする「銀行の手数料」を徹底比較 ネットかメガバンクか結局どこが一番お得?
世の中物価高だが、これまで無料だったり廉価だった銀行利用手数料もどんどん値上がり。一体これからどうなるの?
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4月末、日本最大のメガバンク・三菱UFJ銀行が今年の10月2日から店頭窓口やATMを使った振込手数料を大幅に値上げすることを発表。これまで店頭窓口を使った手数料は3万円未満で594円、3万円以上は770円だったが一律990円にするとしたのだ。
値上げについて三菱UFJは、サービスの提供状況や、現金の取り扱いに関する費用、詐欺、マネーロンダリング防止に関する費用の増加なども踏まえた結果だったと報じられている。
それにしても実質的な1000円は高額。ネットでも「メガバンクをもう使うな」「給料が実質的に下がるのでは」などとの怨嗟の声があふれた。企業も給与振り込みで負担が増えるかもしれない。非難ごうごうの中、三菱UFJはなぜ値上げに踏み切ったのか、今後、銀行とどう付き合うべきか。
■銀行の本音は「コストが低いほうに誘導したい」
銀行を長年取材している金融ジャーナリストの森岡秀樹氏も、今回の値上げには納得がいかないと話す。
「ひとえに店舗や人件費のコストが低いネットバンキングに誘導したいということです。ネットやスマホが使えない人だっているのに、三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクはさまざまな誘導政策を施してきています。当然、ネットバンキングのほうが手数料を安くし、ポイント還元をつけたり。
特に三菱UFJフィナンシャル・グループ・トップの亀沢宏規CEOはこれまでインターネット周りやコストにメスを入れてきた人です。昨年4月からは無料だった通帳の利用料が有料化され、ATM(現金自動預払機)の24時間利用は23年度内にすべて廃止になります。ATMがあると店舗を開けておく必要があるし、ATMには現金を入れておかなければいけないためコストがかかるんです」
昔から銀行の為替手数料などは高すぎると批判されてきたそうだが、それでも銀行側は実質的に赤字だと主張してきたという。それでもさまざまなサービスを無料や低価格で提供してきたのは、儲かってきたから。しかし今やそうも言っていられないのだ。預金通帳は印紙代もかかるし、各行も有料化に舵を切った。
17日の投資家向け説明会で三菱UFJは、円金利が上昇すれば500億円以上収益を押し上げるという試算を発表した。
「つまり、金利が上がらないから損失が出ていると言いたいわけです。彼らにとってはこの500億円は逸失利益なんです。だから500億円をなにがなんでも取り戻したい。そのためには利用手数料も上げる。それが銀行の意識です」