扶養控除見直しが児童手当拡充の財源に浮上も…年収300万~900万円世帯は所得減という愚かさ
「次元の異なる少子化対策」の財源づくりに、子育て世帯を狙い撃ちだ。
岸田政権は来年度からの3年間を少子化対策の「集中取組期間」として、年間3兆円規模の追加予算を確保。うち1.2兆円を「目玉」と位置づける児童手当の拡充につぎ込む方針だ。
検討案は▼3歳~小学生を対象に第3子以降の支給額を現行の月1万5000円から3万円に倍増 ▼支給対象を中学生から高校生までに延長(月額1万円) ▼所得制限(世帯年収960万円から減額、年収1200万円以上はなし)の撤廃──とチンケなバラマキ策が目白押し。
これで本当に少子化に歯止めをかけられるのかが疑わしい「異次元レベルのショボさ」だが、鈴木財務相は23日の会見で、高校生まで拡充する場合は16~18歳に適用されている扶養控除を「整理する必要がある」と発言。見直しを示唆したから、ますます理解不能である。扶養控除が廃止されたら、実質増税になってしまうからだ。
現行制度では16歳以上19歳未満の子どもを扶養している世帯は、1子につき38万円が所得額から控除されている。2010年に民主党政権が「子ども手当」を創設した際には16歳未満の「年少扶養控除」が廃止された経緯がある。今回も給付とのバランスを口実に、16~18歳の扶養控除を廃止して少子化対策の財源に回す可能性は大いにあり得る。