風呂場、洗濯物の生乾き臭、エアコン…梅雨時期のガンコな「カビ」退治法
梅雨時期の大きな悩みは「洗濯物が乾かない」こと。室内干しをしていると、生乾き臭がどうしても気になってくる。さらにお風呂やキッチンのカビ対策、冷蔵庫や電子レンジのお手入れの仕方も悩みの種。お掃除のプロであるダスキン「メリーメイド」に悩みを相談してみた。
(1)風呂場のドアの開けっ放しは黒カビの大好物
「日本の多くの地域で梅雨入りしましたが、ジメジメした季節でも快適に過ごせるよう“家事のプロ”の視点から対策を紹介します。特にお風呂、キッチン、エアコン、洗濯物はストレスの多いトラブルポイントです」
こう話すのは家事代行サービス「ダスキン・メリーメイド」の広報担当者。お掃除のプロが家庭でもできる方法をやさしく解説する。
まずは、最も気になっているお風呂場のカビ対策。この季節、浴室内は高温多湿になるため黒カビやピンク色のヌメリの温床になる。
そのまま放置してしまうと落ちにくくなるため、発生しないための事前の3つの対策が重要だという。
「『洗い場の汚れを洗い流す』『室温を下げる』『換気して湿度を下げる』の3つ。カビは皮脂などをエサにし、20~30度、湿度80%以上で生えます。浴室から出る前にシャワーで排水口やゴムパッキンなどを洗い流しましょう」(担当者=以下同)
一般家庭でよく間違うのが「換気」の仕方。「窓やドアを開けっ放しにしていればいいでしょ」と思うだろうが、これがそもそもの誤解だ。窓を開けると湿った空気が入ってきてしまう。
「浴室は常に乾燥している状態を保つことが大切。24時間換気扇を回すのが理想ですが、できない場合は入浴後に水気を拭き取るようにしてみてください。スクイジーや吸水性のいいクロスで拭き取ったりするのがおすすめです」
衛生微生物研究センターが実験したところ、浴室内で主に繁殖する黒カビ(クラドスポリウム)は、比較的大きな“水滴内でのみ”菌糸の伸長がみられた。つまり、湯上がり前に水滴をきれいに拭き取るか、浴室暖房でカラカラに乾燥するのが効果的というわけだ(湿度60%以下ではカビは活動できない)。もちろん換気扇を回すことで浴室内の湿度は下がるが、たまった水まではすぐに乾かない。これこそがカビ対策の落とし穴だ。
(2)ガンコなカビにはティッシュより「こより」
それでも生えてしまったらどうする?
「基本はお風呂用の中性洗剤を使うようにし、それで落ちなかったガンコなカビには塩素系漂白剤を使うとよいでしょう。ここで裏ワザをひとつ。カビの生えている部分にカビ取り剤を吹きかけた後、ティッシュを細かく『こより』状にしたものを貼り付けます。その上から再度カビ取り剤を吹きかけ、そのまま5~10分放置し、カビの色が消えるのを待ちます。色が消えない場合は、水に湿らせたジーンズ地などに『クリームクレンザー』を付けてこするといいでしょう」
それでも気になるという人は、ホームセンターなどで販売されている「防ぐカビキラー」(ジョンソン)などの防カビ剤を利用したい。
(3)洗濯物の生渇き臭を防ぐ「アーチ干し」
今日も雨……。室内干しをして気になるのは洗濯物の「生乾き臭」。洗濯物に付着した雑菌が繁殖することで発生する。
「洗濯用の酸素系漂白剤を40度くらいのお湯に溶かし、10~15分つけ置いてから洗濯するとニオイが抑えられます」
子供が小学校から持ち帰ってくる「上履き」は特につけ置いてほしい。市販の酸素系漂白剤には「オキシクリーン」(グラフィコ)、「ワイドハイターPRO」(花王)などがある。
「室内干しで洗濯物を干す際もコツがあります。風通しのよい『アーチ干し』を実践しましょう。中心から外側に向けて短い洗濯物から長い洗濯物の順に干していく方法です」
万全を期すならここで「扇風機」の出番。空気の流れが重要だ。ただし、「風通しのよい窓際に干せばいい」というのは大間違い。開けた窓際は湿度が高く、カーテンやカーテンレールにはニオイの原因となる雑菌が繁殖しているケースもある。これが生乾き臭の原因になっていることも多いのだ。
カーテンレールに洗濯物干しをひっかけている人は、今すぐやめたほうがいいという。
(4)エアコンの使い始めはカビをまき散らす
冬場の役割を終え、梅雨時期に久しぶりにスイッチを入れると、「ムワ~」とした枯れ草のようなニオイ。時には黒い物体がポトリ。エアコン内で繁殖する枯草菌が原因だ。実は、エアコン内は湿度が高く、カビが繁殖しやすい環境になっている。
「30分をめどに送風運転を行います。使用後は内部の温度差が高くなり、水が発生します。エアコン内部を乾燥させることで、カビの発生防止に効果が見込めます」
送風運転を行うのは内部のホコリを外に出す目的もある。エアコンを使わない時期でも月に1度程度の送風運転を心がければ安心。
三菱電機も「冷房後はエアコン内部に水分がたまっている」ので「送風運転で内部を乾燥させる」のが正しい使い方だと説明している。
(5)「自動掃除機脳」があっても万全ではない
フィルターの掃除は2週間に1度が理想。自動掃除機能がついているエアコンは基本的にフィルター掃除は不要だが、ここでも落とし穴が待っている。
「『ウチのエアコンは最新の自動掃除つきだから、掃除は一切不要』と思っている方もおられるのでは? 自動装置の箇所はフィルター部分のみという場合が多いようです」
富士通ゼネラルの最新式はエアフィルターを自動で清掃し、たまったホコリもダストボックスに回収してくれるが、カビは内部にもある。自動掃除機能はありがたいが、やはり定期的なクリーニングは必要なのだ。
「カバーを外し、ホコリが舞わないよう気を付けてフィルターを外して掃除機をかけ、裏面から水洗いをしましょう。フィルターは洗い終わったら直射日光を避け乾かしましょう」
内部もきれいに拭き取って終了。カビ対策はもちろん、エアコンは高い場所にあるので、今こそお父さんの出番だ!