教育社会学者・内田良氏 教員のタダ働きに甘える“学校依存社会”に警鐘

公開日: 更新日:

財務省は教育分野にしかるべき予算を

──そもそも予算が厳しい状況で、文科省は教員の働き方改革に抜本的な手を打つことができないでいる。NHKが教員の現状について「“定額働かせ放題”とも言われる」と報道したところ、文科省が「一面的な報道」だと抗議し、物議を醸した。

「文科省は、教員のなり手不足に最も頭を悩ませている。打つ手がない中で、少しでもネガティブなイメージが広がらないように、苦肉の策として今回のような行動に出たのだと考えられます」

 ──教育現場はすでに崩壊していると、内田教授は警鐘を鳴らす。

「現場では人手が全く足りておらず、教員は本分である授業の準備に時間を割けないでいます。校長先生などは、教員の補充のため『どこかに来てくれる教員はいないか』と、片っ端から電話をかけている状況。採用試験の倍率はあらゆる地域で急低下しており、教員免許を取得する要件が緩和されるなど、今やなりふり構わず教員を採用せざるを得なくなっている。そのため、すでに教育の質は担保できなくなってきています。いま一度、国に問いかけたいのは、学校がこんな状態でいいのかということです。未来を担う人材を育てるという重要な役割を持つ教育分野に、しかるべき予算を回すべきです」=おわり

(聞き手=橋本悠太/日刊ゲンダイ

▽内田良(うちだ・りょう)1976年、福井県生まれ。名古屋大学大学院教授。専門は教育社会学。学校リスク(事故や長時間労働など)の調査・研究、啓発活動を行っている。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  2. 2

    紗栄子にあって工藤静香にないものとは? 道休蓮vsKōki,「親の七光」モデルデビューが明暗分かれたワケ

  3. 3

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  4. 4

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  5. 5

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  1. 6

    永野芽郁×田中圭「不倫疑惑」騒動でダメージが大きいのはどっちだ?

  2. 7

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 8

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動

  4. 9

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 10

    永野芽郁がANNで“二股不倫”騒動を謝罪も、清純派イメージ崩壊危機…蒸し返される過去の奔放すぎる行状