藤田晋氏と堀江貴文氏は馬主で話題、津田大介氏と西村博之氏を加えた「個人的IT四天王」の1人が持ち掛けた『本屋大賞』買収提案
当時の空気感が分かる藤田氏の著書『渋谷ではたらく社長の告白』
私は彼らと同世代だが、当時若者だった彼らが円熟味を増した今、若者からも支持されていることに彼らの先見性を感じてしまうのだ。もちろん、現在のアラフィフのIT関係者の中には仲違いをした者も多数存在するが、あの頃はいわゆる「オールドメディア」全盛期。そんな時代にドン・キホーテのごとく彼らは、インターネットの可能性に賭けた「同志」的な面があった。
当然4人とも紆余曲折はあったが、彼らの功績を知るにあたって「今さら読むべき本」として当時の空気感を知るべくお勧めしたいのが藤田氏著『渋谷ではたらく社長の告白』(幻冬舎文庫)である。1998年にサイバーエージェントを立ち上げた藤田氏の若き日を自ら描いた1冊。堀江氏の技術力に救われたこと、2000年に東証マザーズに当時史上最年少(26歳)上場を果たすもどん底に落ちたことなどがつまびらかに描かれており、こうした人々が現在の日本のインターネットの隆盛を作ってきたのだと感じられる。
正直、インターネットを商売にしようとする人々は、21世紀初頭はうさんくさく思われていた。西村氏が管理人を務めた「2ちゃんねる」は、「西鉄バスジャック事件」で犯人だった少年が犯行予告を書き込んだことが報じられたことから、アングラ臭が漂い過ぎていたし、当時、企業は「2ちゃんねるに書かれてしまいました! どうやって消せばいいでしょうか!」などと広告代理店に相談する状況。ただ、広告代理店に削除権限はなく「困りましたね」などと長々と会議をしただけである。
オールドメディアはネットに対し、自身のビジネスの邪魔をする「敵」と認定し、関係者を批判することにより、自身の存在感を見せようとしていた面がある。
その象徴が、30代前半で「ヒルズ族」の象徴とされた堀江氏だ。同氏は2004年にプロ野球参入を目指し、翌05年にはフジテレビの親会社であるニッポン放送買収に乗り出した。ニッポン放送買収については財界の有力者である北尾吉孝氏が買収を阻止する「ホワイトナイト」としてライブドアによる買収を阻止したが、2025年に北尾氏は堀江氏と対談し、阻止したことを後悔したと述べ、堀江氏も北尾氏と組むべきだったと振り返り「和解」をしている。
プロ野球参入にしても、同じような構図が見えた。当時の読売新聞グループ本社主筆として巨人オーナーだった渡邉恒雄氏が「金さえあればいいってもんじゃない」「知らない人を入れるわけにはいかん」と堀江氏を拒否。結果的に日本興業銀行出身で財界にも関係のある、堀江氏より7歳年上の三木谷浩史氏(61)の楽天が球団運営をすることとなった。
IT業界の末席にいた私も今振り返ると、ネットへの横やりが度々あったことを思い出す。とにかくインターネットがかかわるだけで蛇蝎のごとく嫌われた時代がほんの20年前に存在していた。特に、テレビ・新聞・雑誌メディアについては、ほんの10~15年前までもネットを毛嫌いしていた。


















