藤田晋氏と堀江貴文氏は馬主で話題、津田大介氏と西村博之氏を加えた「個人的IT四天王」の1人が持ち掛けた『本屋大賞』買収提案
「本屋大賞」の実質的責任者と臨んだ打ち合わせの席で度肝を抜かれた
そこで、彼らのすごみを感じたエピソードを一つ紹介したい。この内の誰か、とはここでは言わない。だが、私はこの中の一人に私が「本屋大賞」に関わっていることを知られる。実は私は、本屋大賞の立ち上げメンバーで実質的な責任者と懇意にしていたほか、本屋大賞が発行するフリーペーパーの編集者をしていた。2004年に第1回が開催され、小川洋子さんの『博士の愛した数式』が大賞を受賞し、ベストセラーになる。
以後、本屋大賞は芥川賞と直木賞にも匹敵する「ベストセラー製造装置」となる。本屋大賞は書店員が本気で売りたい本を書店員が推薦し、投票する賞だ。いわば、目利き力のある「書籍のプロ」が選んだ本は読む価値がある、というスキームが出来上がっている。かくして私は本屋大賞の実質的責任者とともに、その1人との打ち合わせに臨んだ。すると彼は開口一番、こう言った。
「本屋大賞、いくらで買収させてもらえますか?」
これには責任者も私も度肝を抜かれた。長い期間をかけて全国の書店員ネットワークを作り、出版社の理解も得て作った本屋大賞を買収し、ITの力でより儲けさせる装置にしよう、という意図を感じたからである。当然、即答できるわけもないのでその場は「検討します」と言い、後日断りを入れたのだが、買収を持ち掛けた彼はさまざまな将来が見えていたのであろう。
その作品の権利を出版社とともに保有し、ドラマや映画、さらにはパチンコなどにも活用したり、リアルイベントのチケット収入に加え、配信収入を得ることなども。こうした点から、インターネットの可能性を理解していた人々は「全世界に情報を伝えられる」という機能をどのように最大限活用するか、が分かっていたのだ。
だからこそ今、私は彼らの慧眼に敬服するのである。なので、今後ともIT黎明期を作ってきた人々の発言は注目した方がいい。そこに何らかのビジネスのヒントがあるかもしれないし、株式投資をする人にとっても役に立つ情報を発信するからだ。


















