米朝会談現地ルポ 国柄がハッキリ表れた宿泊先の警備体制
歴史的会談の直前まで米朝両国の心理戦は続いた。11日、市内のリッツ・カールトンホテルで、すでに板門店で6度に及ぶ実務接触を行った米国のソン・キム駐フィリピン大使と、北朝鮮の崔善姫外務次官が4時間半にわたって、最後の調整を行った。夕方にはポンペオ米国務長官が同行特派員団を相手に「米側が許容できる範囲はCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)である」とブリーフィング。トランプ大統領自身も「ワンショット(一発勝負)の解決」と記者団に語っており、最後の最後まで金正恩委員長に圧力をかけた。
対する北側は「金正恩党委員長は会談後、12日午後3時に帰国の途につく」との情報を流し、共同会見でのツーショットで「成果」を強調したいトランプに揺さぶりをかける。米朝の熾烈な情報戦が繰り広げられた。
日中は宿泊先のセントレジスホテルにこもっていた金正恩一行だったが、夜9時すぎに突然、一行を乗せた車がホテルを出発。観光名所の植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」を訪れ、市内を象徴する建物「マリーナベイ・サンズ」の夜景を楽しんだ。ナイトツアーに出かけた金正恩一行が通過するたび、道路や橋が次々と封鎖され、市内は騒然となった。