宮田律
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宮田律現代イスラム研究センター理事長

1955年、山梨県甲府市生まれ。83年、慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院修士課程修了。専門は現代イスラム政治、イラン政治史。「イラン~世界の火薬庫」(光文社新書)、「物語 イランの歴史」(中公新書)、「イラン革命防衛隊」(武田ランダムハウスジャパン)などの著書がある。

イラク戦争の過ちを繰り返す米国と安倍政権

公開日: 更新日:

 米国のペンス副大統領は8日、首都ワシントンで開かれたキリスト教右派の集会で、イランのウラン濃縮度の引き上げや無人偵察機撃墜に対抗措置をとる姿勢を見せ、米軍は中東地域での国益や米国人を保護するための態勢を整えつつあると語り、イランに対する軍事力の行使も辞さない姿勢を見せた。

 ペルシア湾での緊張は高まりつつあるが、イランは米軍が戦争でてこずったイラクよりも国土は3.8倍広く、人口もイラクの2倍以上である(世銀の2017年の統計でイラクは3827万人、イランは8116万人)。米英軍はラムズフェルド米国防長官の構想もあって15万人余りの兵力でイラク戦争を始めたが、それが極めて不十分であったことはイラク戦争後の混乱を見れば明らかである。

 2003年2月、イラク開戦の直前にエリック・シンセキ陸軍参謀総長(日系人)は上院軍事委員会の公聴会で、旧ユーゴの紛争などの経験からイラクの戦後処理には80万人の米軍兵力が必要だと証言した。この証言によってシンセキ参謀総長はラムズフェルド国防長官によって更迭されてしまったが、シンセキ氏の見通しが正しかったことはISの誕生をもたらすなど戦後イラクの無秩序状態を見れば明白だろう。イランとイラクの面積比と、シンセキ氏の見積もりなどから単純計算で米軍のイラン占領には300万人以上の兵力が必要ということになるが、米軍の総兵力は150万人余りだ。米軍がイラク戦争以上の犠牲を強いられることは明らかで、アフガン戦争の北部同盟、イラク戦争のクルド人民兵組織のように、地上で米軍に協力する武装勢力もない。

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