宮田律
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宮田律現代イスラム研究センター理事長

1955年、山梨県甲府市生まれ。83年、慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院修士課程修了。専門は現代イスラム政治、イラン政治史。「イラン~世界の火薬庫」(光文社新書)、「物語 イランの歴史」(中公新書)、「イラン革命防衛隊」(武田ランダムハウスジャパン)などの著書がある。近著に「黒い同盟 米国、サウジアラビア、イスラエル: 「反イラン枢軸」の暗部」(平凡社新書)。

「24日発動」正当性なきトランプ政権のイラン制裁強化

公開日: 更新日:

 23日、米国のトランプ大統領は、「イランには核兵器をもたせない。オバマ大統領のひどいプランの下ではイランは近い将来に核兵器をもつだろう。現在の査察は受け入れがたい。月曜日(24日)にさらなる制裁を強化する」とツイートした。

 トランプ大統領は、2018年5月にイランが核兵器製造過程にあることを理由に核合意から離脱したが、今年5月31日に国際原子力機関(IAEA)は、イランが核合意を引き続き順守しているという内容の報告書を発表している。しかし、その後、6月10日、IAEAの天野之弥事務局長は、イランが濃縮ウランの生産を加速させていると述べ、「イランが核合意を履行しているとは言っていない。しかし、履行していないとも言っていない」と5月末の報告書とは若干ニュアンスの異なることを述べ、米国への配慮をにじませたかのような官僚的な発言をした。しかし、イランが生産を増やしているのは、原発で使われるウラン235の濃度3%から4%の低濃縮のもので、核兵器製造に必要な90%には遠く及ばない。近い将来、イランが核兵器をもつとするトランプ大統領のツイートには合理的な根拠がまるで見られず、それゆえさらなる制裁強化には正当性がまったくない。

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