奥野修司
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奥野修司ノンフィクション作家

▽おくの・しゅうじ 1948年、大阪府生まれ。「ナツコ 沖縄密貿易の女王」で講談社ノンフィクション賞(05年)、大宅壮一ノンフィクション賞(06年)を受賞。食べ物と健康に関しても精力的に取材を続け、近著に「怖い中国食品、不気味なアメリカ食品」(講談社文庫)がある。

大統領選狙い農家救済に動き…トランプは日本に目をつけた

公開日: 更新日:

 打撃はそれだけではない。米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱したことで、お得意さまの日本市場では劣勢が続いている。日本の輸入牛肉の米国シェアは50%台から40%を割り、首位の豪州産との差が開く一方だ。豚肉もカナダなどのTPP参加国に押されつつある。

 もともと、全米農業所得は2018年が660億ドル(約7兆3920億円)で、2013年の1340億ドルから半減しているのだが、それに拍車がかかっている状態といえる。

 さらに、米国内消費者の牛肉離れがあり、畜産農家の悲鳴が聞こえてきそうだ。2020年の大統領選で再選を目指すトランプにとって、これは大問題だ。とくに、肉牛の産地であるテキサス州は大統領選の勝利に必要な選挙人数がカリフォルニア州に次いで多いから、テキサス州を救わないわけにはいかないのだ。

 そこでトランプは最大で160億ドル(約1兆7000億円)もの補助金で、国内農家の歓心を買おうとしたが、農家の損失の穴埋めにもならなかった。発表当初こそ、最大手の米国農業団体連合会は「苦境にある農家に配慮してくれた」と歓迎したが、その一方で、「(あくまでも)収入減少の一部を埋め合わせたものだ」と、不足をアピールしていた。

 トランプはこの苦境を打破するために、日本人の胃袋を人質にとったというわけだ。

 (つづく)

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