ホルモン入り米国牛肉は延々と日本に押しつけられる宿命
現在、米国の農家が大苦境にあることを前回書いた。それもトランプの“政策”によってだ。今年の8月、ガソリンにエタノール混合の義務を免除したためにトウモロコシ価格が下落した。さらに中国との貿易戦争で、米国産の大豆や豚肉は中国から締め出され、またTPP離脱によって、牛肉や豚肉の日本輸出も芳しくない。米国の農家や畜産業は収入減で踏んだり蹴ったりだ。
その農家の反発を恐れたトランプは、日本円で1兆7000億円の補助金で批判を和らげようとしたが、たいした効果はない。このままだと来年の大統領選に向けて、テキサス州など中部・南部の大票田が危ない。
そこで日本がターゲットになっている。今年秋に大急ぎで妥結した日米貿易協定。そのキモは、日本側に米国産農産物の輸入関税を引き下げさせることであり、まんまと成功した。これで、今まで以上に大量に安い米国牛肉が日本に入ってくる。「シンゾーは友達」とか言って、トランプは米国農家のために新たな市場を創造したのである。