鈴村裕輔
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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

トランプ弾劾案可決に胸をなでおろす大リーグ経営者たち

公開日: 更新日:

 米国下院で、大統領ドナルド・トランプに対する訴追状案が可決された。

 大統領の条項が米国史上3例目であることなどから、各国の報道機関は「トランプ政権を巡る与野党の対立が頂点に達した」と喧伝している。トランプ以前に下院で弾劾案が可決された最後の大統領が1998年のビル・クリントン、さらに遡れば1868年のアンドリュー・ジョンソンにたどり着く。そのため、歴史的な出来事として人々が弾劾案に注意を引かれるのも当然だ。

■支持者の結束

 だが、トランプを罷免するためには上院議員の3分の2以上の賛成が必要となる。

 今回の訴追状案でも、共和党からの造反議員はいなかった。副大統領ペンスは穏健派ではあっても政治的な手腕への評価は高くなく、2020年の大統領選挙の候補はトランプでほぼ確定し、他の候補者たちは24年の選挙を目指している現状を考えれば、53人の上院共和党から20人以上の議員が造反する可能性はほぼ皆無だ。

「与野党の対立は頂点に達した」という考えはむしろ、一面的なものでしかない。民主党は「支持者への点数稼ぎ」の機会を手にし、共和党には「民主党の横暴」を訴えることを可能にし、トランプにとっては「支持者の結束」をもたらすという意味で、今回の弾劾訴追は一種の「三方一両得」の展開だと言えよう。

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