今度は絆會会長宅に車が…暴力団トップへの襲撃が全国で続くワケ、背後に高山若頭の存在
襲撃の「狙い」は何なのか──。
神戸山口組の井上邦雄組長(73)宅への発砲事件に続き、「絆會」(旧仁侠山口組)の織田絆誠会長(55)の自宅が襲撃された。
「車が突っ込んだ」
6日午後9時45分ごろ会長宅にいた組関係者から110番があった。神戸市長田区にある織田会長の自宅玄関付近に、軽自動車がバックで衝突。門扉などが壊れたが、自宅にいた織田会長を含め、けが人はいなかった。
運転手はその場から徒歩で逃走したものの、7日午前0時半ごろ、兵庫県警長田署に1人で出頭。「私が1人でやったことに間違いありません」と話し、同署は大阪市生野区の無職、樺山健一容疑者(38)を建造物損壊の疑いで逮捕した。
前日5日には、神戸市北区にある神戸山口組の井上組長宅に10発以上の銃弾が撃ち込まれる事件が起きたばかり。県警は出頭した6代目山口組の中核組織「弘道会」傘下の組員で、無職の林雄司容疑者(49)を銃刀法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕した。
約1カ月前の5月8日には、大阪府豊中市で弘道会の組員が神戸山口組の副組長で「宅見組」の入江禎組長(77)の自宅に車をバックで突っ込ませ、逮捕された。この事件に前後して、5月3日には、6代目山口組系組員が神戸山口組を離脱した池田組(岡山市)の関連ビルに軽ワゴン車を突っ込ませ、逮捕。5月10日には、6代目山口組「一心会」傘下の組員が三重県伊賀市で、乗用車内にいた絆會の組員を銃撃して逮捕されている。
水面下で進む6代目山口組への対抗措置
6代目と対立する神戸はともかく、神戸に反旗を翻して離脱した絆會、池田組の組員が狙われたのはなぜか。
実は神戸の入江副組長が水面下で、かつて資金面で神戸を支えた池田組の池田孝志組長、絆會の織田会長と個別に会っている。
池田組は独立直後から絆會と連絡を取り合うなど、両者の関係は深い。入江副組長はこの2人と組んで6代目に対抗しようともくろみ、その話が6代目の高山清司若頭(74)に伝わったとみられる。3者が同盟を組めば劣勢状態の神戸側が再び結束力を強め、さらなる抗争の長期化につながりかねない。
暴力団に詳しいノンフィクション作家の溝口敦氏がこう言う。
「直接の指示ではないにしても、背後に高山若頭がいるのは間違いない。高山としては何が何でもこの同盟話を潰さなければならない。ダメージを与えられないカチコミや、軽自動車を突っ込ませるのも、話が進行して焦っていることの表れではないか。一気に叩き潰さなければならないという高山の意思が見え隠れする」
6代目の行方を担うとされる高山若頭が出所してからもうすぐ3年。抗争の終結は見えないまま、時間だけが過ぎていくことに焦りを感じても不思議はない。